Welfare evaluation of regional bank consolidations

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K01779
• Research Institution: Waseda University
• Principal Investigator: 小倉 義明 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70423043)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2024-03-31
• Keywords: 地域金融 / 銀行合併 / 構造推定

Outline of Annual Research Achievements

地域金融機関の経営統合が、銀行の費用効率性、競争行動、リスクテイクの変化を通して地域経済に与える影響の経済厚生評価を行う目的に向けて、地域金融市場の需要・供給関数の構造推定に向けた、以下の準備を行った。
①地域金融市場の地理的範囲を設定するために必要なデータ構築を行った。具体的には、銀行支店所在地、および中小企業所在地の緯度経度情報の、財務データおよび銀行取引データへの接続を行った。接続に当たっては、国土交通省がウェブ上で公開している、位置参照情報ダウンロードサービスを用いた。また、日本金融名鑑（DVDROM）に収録されている銀行支店所在地データを用いて、移転・廃止支店情報をこれに接続した。
②融資市場の構造推定の理論面の準備として、都道府県レベルでの融資需要・供給関数の推定を行い、生産年齢人口減少などの要因で融資需要が伸びにくい地域で、競争激化、リスクテイクの拡大がみられたこと、規模の経済性が存在することを確認した。
①は地域金融市場の需要関数と供給関数を推定する際の前提となる市場の範囲を設定する際の基礎データとして必要なものである。また、経営統合に伴う支店統廃合の競争環境への影響を調べる際にも用いられるデータセットである。②は、こうした地理情報をベースとした本格的な需要・供給の構造推定の予備的分析となっている。推定の技術的課題や、推定モデルの設定に関する課題をこの予備的分析から洗い出し、①で作成したデータを用いた本格的な推定を行う際の参考とする。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

データ整理、推定モデルの設定について、おおむね予定通りに進捗している。

Strategy for Future Research Activity

当初予定通り、企業と銀行支店の地理情報データの整理が完了次第、地域の事業性融資市場の需要・供給の構造推定を行い、地域金融機関の経営統合の費用効率性、競争行動、リスクテイクの変化を通して地域経済に与える影響の経済厚生評価を行う。

Causes of Carryover

コロナ禍により研究助手雇用を抑制したため、繰り越しが発生した。次年度は、データ整理のための研究助手雇用に支出することを予定している。