2020 Fiscal Year Research-status Report
日本の銀行エリートと銀行業の特徴の変遷―産業革命期~高度成長期の分析―
Project/Area Number |
20K01789
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
邉 英治 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (50432068)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 金融史 / 銀行エリート / 昭和金融恐慌 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究年度第1年目にあたる本年度は、日本の銀行エリート及び銀行業に関する資料収集を進めるとともに、一部データ入力や分析も進めた。コロナ禍により、予定していた資料収集が困難となった部分もあったが、資料収集が可能であった昭和金融恐慌期及び高度成長期を中心に調査収集した。 主に収集した資料は、各銀行の『営業報告書』、『有価証券報告書』、及び銀行エリートに関する『人事興信録』である。また、オンラインでの収集が可能な『銀行総覧』及び『銀行局年報』についても必要箇所を収集し、データマッチング等に活用した。 特に、昭和金融恐慌期については、データ入力と分析も並行して進めることができた。昭和金融恐慌期については、暫定的だが、以下のような事実が明らかとなりつつある。すなわち、1927年昭和金融恐慌の震源地となった東京市の地域銀行のいくつかは、もともと埼玉や栃木など市外を経営地盤としており、その人的関係が銀行経営の悪化と関連していたのではないかというものである。しかも、東京市に本店をおく銀行の経営データから判断すると、経営悪化は1926年末の段階で明らかな状態であり、大蔵大臣の失言がなくても金融恐慌は不可避であった可能性が高いことが浮かび上がってきた。今後さらに研究を進めて、研究報告・論文化したいと考えている。 国際比較分析については、私がオーガナイザーを務める世界経済史会議(WEHC2022 @Paris)の銀行エリートに関するセッションのプレカンファレンス(ウプサラ大学、オンライン開催)で報告することにより進捗する予定であり、それに向けた打合せをZoomやメールを活用して行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍により、東京大学経済学部図書館での資料収集ができなくなったほか、国立国会図書館の入館も抽選制となったため、資料収集に遅れが生じている。首都圏以外での国内出張による資料収集も実施できなかった。 国際比較分析については、WEHC2022(パリ)の銀行エリートに関するセッションが採択され、オーガナイザーとしてZoomによる研究打合せは数回実施できた。しかし海外出張と異なり、ヨーロッパとの時差の関係で、長時間の議論は難しかった。 他方で、オンラインデータベースを利用した資料収集については、概ね順調に進めることができた。 収集した資料のデータ入力やデータ分析作業については、順次進めている。 以上を総合的に判断し、研究の進捗状況はやや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍により、東京大学経済学部図書館での資料収集は、2021年度の後半より開始できると考えている。国立国会図書館の入館の抽選制はしばらく続くが、着実に資料収集を進めていきたい。収集した資料は、順次データ入力し、分析を進めていく。1927年昭和金融恐慌の震源地となった東京市の地域銀行のデータ入力はやや進んでおり、昭和金融恐慌の再検討と関わる研究報告を行うことを考えている。 国際比較分析については、WEHC2022のプレカンファレンスをウプサラ大学主催で実施する予定である。Zoomによるオンライン開催を予定している。本研究成果の一部を報告する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で出張ができなかったため、旅費を中心に次年度使用額が生じた。 目下、ワクチン接種の普及も進み始めており、コロナ禍が収束次第、国内出張、海外出張を再開し、資料調査や研究打合せを進めたいと考えている。
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Research Products
(4 results)