2021 Fiscal Year Research-status Report
産業の枠組みを越えた組織間連携の創生・構築・社会化のプロセスに関する研究
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20K01827
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
稲村 雄大 青山学院大学, 経営学部, 准教授 (90433903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中内 基博 青山学院大学, 経営学部, 准教授 (20339732)
中島 裕喜 南山大学, 経営学部, 教授 (50314349)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 親子会社間関係 / イノベーション / 国際化 / ジョイントベンチャー・パートナーシップ / 文化的距離 / 制度的距離 / 制度環境 / 社会的責任 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は研究二年目として、とりわけ国境を越えた組織間関係のデザイン、および企業による社会的正当性の確保に注目し、①日本企業の本国親会社-海外子会社間関係が事業の成長やイノベーションに与える影響、②本国とホスト国間の文化的・制度的距離が多国籍企業とホスト国企業とのジョイントベンチャー・パートナーシップの形成に与える影響、そして③さまざまなレベルの制度環境が企業による社会的責任に関する意思決定に与える影響について、各分担者が具体的な事例やデータの分析を行った。
①については、日本企業(ブラザー工業株式会社)の事例研究を通じて、従来の本国親会社による海外子会社のコントロールや統合を通じた海外事業展開ではなく、自律した海外子会社との間のコンフリクトや共進化といったプロセスが海外事業の成長や破壊的イノベーションの実現を促進する可能性を発見することができた。本分析については、国際学会で報告を行った。②については、外国企業が日本に直接投資によって進出する際のジョイントベンチャー・パートナーの選択について、先行研究を整理し仮説を構築した上で、各社の本国とホスト国である日本との文化的距離や制度的距離がジョイントベンチャー・パートナーシップの形成に与える影響を分析した。先行研究の整理および仮説の構築については2021年度に論文として発表済みであり、分析結果も含めた研究成果は2022年度前半の学会誌投稿を予定している。③については、日本企業による社会的責任に関する取り組みのうち人材の多様化、具体的には女性の活躍推進(管理職登用)に注目し、それに関連する施策や実際の人材多様化に対して、さまざまなレベル(国/産業/企業内)の制度環境からの圧力がどのような影響を与えるのかを、独自のデータベースを構築した上で実証的に分析した。本分析については、2022年度中の学会誌投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続き、新型コロナウィルスの影響により、各研究者ともにオンライン講義への対応等で本研究課題に対する十分なエフォートを確保するのが難しい上に、移動が制限されたため企業へのインタビュー調査や共同研究者間の議論も十分に行うことができない状況であったが、昨年度に構築したデータベースを用いた具体的な分析を実施し、また事例研究の成果発表も行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度および2021年度に実施したデータベースの構築、データ分析、および事例研究をベースとして、当初の計画通り研究を推進していく予定である。具体的には、研究実績の概要で示した①②③の研究テーマについて、論文の執筆および学会誌への投稿を進める。また2021年度に実施できなかった自動車産業におけるリサーチコラボレーション・ネットワークの形成や、電子部品企業の自動車分野への事業展開の歴史といったテーマについても、具体的な調査・分析を実施していく。
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Causes of Carryover |
2020年度と同様、企業へのインタビューや共同研究者間の打ち合わせ、国内学会への参加等を計画していたが、新型コロナウィルスの影響により移動が制限され、それらが困難となってしまった。それによって旅費として申請していた分の予算は未使用となり、またそれに伴う研究計画の変更によって物品費も一部未使用となった。2022年度について、状況が改善されれば研究活動用の旅費として使用する予定であるが、2022年度も状況が改善されなければ、旅費として計画していた分の予算を、構築しているデータベースの拡充等に充てたいと考えている。
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Research Products
(2 results)