2020 Fiscal Year Research-status Report
The role of warehouses in silk reeling finance: The Ueda Warehouse and the creation of Jyukyu Bank's loans collateralized by silk cocoons
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20K01922
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Research Institution | Gakushuin Women's College |
Principal Investigator |
金城 亜紀 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (00636946)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 担保 / 動産 / 倉庫 / 製糸 / 倉庫証券 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は次の通りである。長野県の地方銀行が開発した、倉庫を用いた動産担保融資は、同県を製糸業の世界的な産業集積地として発展することに大きく貢献した。担保となった動産は生糸の原材料である繭である。1927年には同県で倉庫に保管された繭の64.6%が担保として用いられ、倉庫会社と銀行は密接に連携して製糸家に繭担保融資を提供した(日本銀行, 1928)。第十九銀行と諏訪倉庫が、日本の生糸輸出が最盛期を迎えた1910~20年代における長野県の製糸金融で中心的な役割を果たしたことは明らかになった(金城, 2016)。しかし、倉庫を用いて繭を担保化する金融技術がどのように成立したかの先行研究はほとんどない。そこで、本研究は時代をさかのぼり、諏訪倉庫の前身である上田倉庫に着目し、倉庫を用いた繭担保融資の成立を実証的に明らかにする。具体的には、研究代表者によって発見された上田倉庫の原史料の整理と分析を行うことにより、当該金融技術が成立する経緯を詳細に検証する。 諏訪倉庫が保有する上田倉庫の史料が全体としては未整理の状態にあるため、当該年度はその整理とデジタル化を行う計画であった。すわわち、、史料を確認後、年代順・種目別に分類し、すべてに通し番号をつけ、目録を作成する。その上で、整理された史料を研究代表者の研究室等で閲覧できるように高性能一眼レフカメラで写真撮影し、デジタル情報として整理し史料目録、デジタルデータ(iCloudなどのクラウドストレージにアップ)を成果物とするはずであった。 しかし、コロナ禍が収束せず長野県岡谷市に所在する諏訪倉庫を訪問することが不可能な状態が続いたため、誠に遺憾ながら本計画を遂行することが全くできずに終わった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍が収束しない中、高齢者が多い研究協力先から受け入れを拒絶されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の推移を注視しつつ、感染症対策を万全にした上で状況が許す限り、当該年度で遂行できなかった研究計画を一刻も早く実施したい。ただし、現在の状況が続けば計画のさらなる遅延が発生する可能性は否定できない。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため現地調査ができなかったため。
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