2021 Fiscal Year Research-status Report
雇用終了紛争当事者の行動原理の解明―「超社会性」の論理と「家」の論理を手がかりに
Project/Area Number |
20K01930
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Research Institution | Kawaguchi Junior College |
Principal Investigator |
平澤 純子 川口短期大学, その他部局等, 教授 (50517224)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 雇用終了 / 紛争 / 行動原理 / 超社会性 / 家 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の、研究期間内(2020年度~2023年度)の目的は次の二つである。(1)整理解雇、雇止めをめぐる紛争(以下、雇用終了紛争という)の当事者双方の行動原理を具体的に解明すること、(2)雇用終了紛争当事者双方の行動原理が折り合いをつけられる自律的経営社会政策の具体的要件を究明すること、これら2点である。 この研究は、本研究の研究期間を超えた長期的な研究目標の下に進めている。長期的研究目標とは、(3)国家の労働政策が企業の経営政策を規定するのではなく、企業の自律的・自主的な経営政策とそれを補完する労働政策のあり方を考察すること、(4)資本主義経済において皆無にできない雇用調整と、雇用終了をめぐる紛争に経営学が何をなしうるか、経営学の可能性を探り、経営学の存在意義を高める研究を目指すこと、これら2点である。 本研究は雇用終了紛争を研究対象としている。長期的な研究目標の下に進め、国際的な議論に寄与する研究を目指して応募していた。したがって、第四次産業革命の社会実装によるSociety 5.0が雇用終了紛争を増加させることをも想定した研究となっていた。しかしながら、2019年の秋にこの研究の応募書類を提出した直後に新型コロナウイルス感染症が拡大し、感染症による雇用終了、雇用終了紛争の急増という現象をみることとなった。各国において国家が労働政策を、企業が経営政策が次々に打ち出したため、研究計画外ではあったが、これらを概観する作業をも今年度は行った。雇用終了、雇用終了紛争の処理をめぐるルールについて国内での議論が新しい段階に進むことになったので、この議論をフォローしていくことも必要となった。こうした事情から、今年度の業績は論文1本にとどまった。業績の少なさを重く受け止めている。とはいえ、計画外の作業は本研究の意義を高め、調査の新たな可能性の開拓につながった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」欄に記載のとおり、雇用終了紛争に関する国家の労働政策、企業の経営政策を扱う本研究の課題設定上、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う国家の労働政策、企業の経営政策を概観する等の作業は計画外であっても遂行していく必要があった。この作業により、業績は論文1本にとどまった。これは重く受け止めている。しかし、この作業が研究の意義を向上させ、調査の可能性の新規開拓をもたらしたことも事実である。 もとより、研究は、研究は想定外のできごとで遅れが生じるのが常であるという認識の下に研究計画を立てるようにしており、前倒しで進めてきた。また、計画外の作業も研究期間全体の中で投下しうる時間を割いた。本研究全体としては概ね順調に進行させているため、「おおむね順調」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
理論研究、調査をさらに進めていく。本研究の研究期間終了後にまとまった研究成果を発表できるように研究を進めてきた。研究期間の半分が経過したので、中間発表をし評価を仰ぐ必要があると考えている。こうしたプロセスを経て軌道修正をした上で研究成果をとりまとめていく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:主たる理由は二つである。第一に、国際的な研究会議、学会への参加ができなかったためである。本研究は研究成果を国内外に還元できることを目指している。そのため、国際的な議論を計画に組み込んでいたが、新型コロナウイルス感染症の拡大で会の無期延期や海外渡航の困難にあった。第二に、感染症による雇用終了、雇用終了紛争が増え、これについて概観する作業を追加したが、さほど費用がかかる作業ではなく、なにより本研究の計画書を書いた当時はコロナ前であったため、追加作業の費用は計上していなかったので、科研費は使用しなかった。 使用計画:感染症は終結していないが、渡航をめぐる規制の緩和が進みつつあるので、当初の予定どおり国際的な議論の場で研究成果の中間発表をしていく。調査の実施と本研究の最終的なとりまとめも進めて行く。
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Research Products
(1 results)