2023 Fiscal Year Research-status Report
雇用終了紛争当事者の行動原理の解明―「超社会性」の論理と「家」の論理を手がかりに
Project/Area Number |
20K01930
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Research Institution | Kawaguchi Junior College |
Principal Investigator |
平澤 純子 川口短期大学, その他部局等, 教授 (50517224)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 雇用終了 / 紛争 / 当事者 / 行動原理 / 雇用調整 / 家の論理 / 超社会性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は次の二つである。(1)整理解雇、雇止めをめぐる紛争(以下、雇用終了紛争という)の当事者双方の行動原理を具体的に解明にすること。(2)雇用終了紛争当事者双方の行動原理が折り合いをつけられる自律的経営社会政策の具体的要件を究明することである。この研究は次のような長期的研究目標の下に進めている。(3)国家の労働政策が企業の経営政策を規定するのではなく、企業の自律的・自主的な経営政策とそれを補完する労働政策の在り方を考察する。(4)資本主義経済において皆無にできない雇用調整と雇用終了をめぐる紛争に、経営学が何をなしうるか経営学の可能性を探り、経営学の存在意義を高める研究を目指す。 本研究の最終年度にあたる2023(令和5)年度は研究成果の妥当性を国内外で問うため、国際会議で口頭発表を行った。紛争処理システムは迅速な処理を志向する。このことは労働紛争処理システムにも当てはまる。紛争の早期解決は普遍的な社会的要請である。しかしながら、雇用終了紛争の実際の当事者たる労使は、紛争の早期解決から遠のくような言動を示すことが少なくない。その言動は誤解を恐れずに端的に言えば非合理的である。とはいえ、そのような言動がしばしば観察されるのであれば、そこには道理があると考えるべきである。非合理的な言動の合理性を考察した研究発表に対しては共著書籍での出版の機会を与えられた。2024年度内に発行される。また、もう一つの口頭発表は上記(3)(4)のような長期的研究目標の下に進めてきた本研究を発展させるものである。発表に対する国内外の研究者からの意見や助言を得て今後の研究課題を設定することができた。現在この新たな研究課題に取り組んで長期的な研究目標の達成に向けて歩を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の作業自体は前倒しで進めてきたが、後述するように研究成果の発表で進行が遅れたことが2点あるため「やや遅れている」とした。 第一に単著の出版が遅れた。これまでの研究成果や本研究の成果の一部をとりまとめて学位請求論文をインドの大学に提出した。これを単著として出版する予定であったが、学位請求論文提出の直後、新型コロナウイルス感染症拡大で海外渡航が困難となり、口頭試問の日程が2年以上延びた。したがって、当初の予定より年単位で遅れてしまったが、口頭試問では有益な助言も得て改訂し、単著を2024年度(令和6年度)に発行する。 第二に、国際会議における研究発表は毎年コンスタントに実施する予定であった。しかし、2020年4月に開始された本研究は、研究開始とともに海外渡航が困難となり国際会議における研究発表の数を減らした上に研究期間の後半に集中させることとなった。減らした国際会議における研究発表は2024年度(令和6年度)に取り戻す。
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Strategy for Future Research Activity |
上記「現在までの進捗状況」に記載したように、単著の発行が遅れたので、これを完了させる。また、国際会議での研究発表も実施する。 その上で、本研究の研究期間を超えた長期的な研究目標の達成に向けてこれまでの研究成果の体系的な整理を進めて行く。
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Causes of Carryover |
最大の理由は書籍出版の遅れにある。本研究を含め、これまでの研究成果をとりまとめ学位請求論文をインドの大学に提出した。口頭試問は新型コロナウイルス感染症の拡大のため渡航不可となり当初の予定より2年以上遅れた。しかし、口頭試問等において有益な助言を得たので提出時の原稿を改訂して発行したい。その改訂・編集作業を2023年度中に終えることができす次年度使用額を発生させててしまった。研究費は英文校正等に使用させていただき、書籍を出版する。 本研究は2020年4月に4年間の計画で始まった。国際学会における研究発表も予定して計画し予算を計上していたが、本研究の研究期間の前半は新型コロナウイルス感染症による海外渡航が難しい時期であった。このように、抑制していた国際学会における発表であるが2023年度から取り返している。
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