2020 Fiscal Year Research-status Report
The Role of Information Sharing on Business Collaboration and Generating Innovation
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20K01942
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Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
中村 裕一郎 目白大学, 経営学部, 教授 (00711813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相澤 鈴之助 富士大学, 経済・経営システム研究科, 准教授 (10764053)
岡田 英治 (米岡) 茨城キリスト教大学, 経営学部, 准教授 (70756965)
宮川 宏 専修大学, 経営学部, 准教授 (10744063)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 情報共有 / 情報開示 / 財務情報 / 非財務情報 / ビジネスモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
■企業間連携構築にかかわる探索コストに関して 企業が保有するインタンジブルズ情報を共有し、発見し、利用できる仕組みが構築されていない問題が見られる。そこで取引関係の構築前に、相手企業の財務情報、管理会計情報、インタンジブルズ情報を共有することが探索に貢献することを示す必要がある。 組織間管理会計や組織間マネジメント・コントロールに関する文献レビューと、管理会計情報、インタンジブルズ情報の選択規準に関する文献レビューを行い、その成果の一部として、取引相手の関係資本の有無と基本技術の類似度の二つの軸から、探索コストに関する研究フレームワークを提案し、取引相手を探索する情報の規準を示した。 ■企業間連携の構築と情報共有に関する中小企業を対象にしたアンケート調査 アンケート調査を実施する前段階として、企業間連携、あるいは、アライアンスに関する文献研究を行った。その結果、既存研究ではアライアンスを行う相手企業は「所与」のものとして扱う傾向があり、アライアンス相手の探索や選択に関する研究が少ないという限界があった。先行研究のレビュー、川崎市の中小企業等へのインタビュー調査から、連携企業の探索と選択において、補完性と親和性が影響を与えていると考えられ、次の仮説を設定した。 1.連携を行う動機としては補完性が重視される、2.連携企業を探す、選択する場合には親和性が重視される、3.親和性に依った連携であっても、連携事業のタイプによって親和性の度合いが異なる、4.長期的に連携可能なパターンは、補完性と親和性のバランスの取れている場合。これらのうち、連携企業の探索と選択に関わる1.および2.について調査可能な調査票の作成を行った。本調査票を用いた予備調査を行う予定であり、実施対象の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アンケート調査の事前調査として、川崎市産業振興財団、関東経済産業局、NEDOなどの関連組織と調査内容に関する意見交換を行い、また中小企業等へのインタビュー調査を行ったが、コロナ禍の影響によりインタビュー調査等の機会が制限された。また、コロナ禍の影響により、共同研究のメンバーが集まって研究状況を確認する機会が失われている。オンラインミーティングツールを活用して定期的に打ち合わせを実施しているが、対面でのミーティングよりも効率は悪い。関連組織との意見交換や中小企業等へのインタビュー調査、先行研究レビューを実施した結果から得た知見を、作成した調査票に反映するのに時間を要したため、当初予定したアンケート調査に実施に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もコロナ禍の影響が残ると考えられることから、引き続きオンラインミーティングツールを活用した打ち合わせを継続する。計画よりも遅れてはいるが、調査票が作成できたことから早急に予備調査を実施し、調査票の再検討、広範囲での調査実施を進める。また、中小企業での事例等の調査・分析も進める。 ■企業間連携構築にかかわる探索コストに関して 取引相手を把握し、理解するには、取引相手を信頼する情報や相手との技術、ノウハウなどのセンスティブな情報を取り扱う必要がある。例えば新規の提携先は、信頼性を構築する前の段階であり情報の非対称性が大きくなる。また、提携先候補は自らの技術力やノウハウなどのインタンジブルズ情報の開示は競争優位の源泉を示すことになる。今後、中小企業の企業間連携事例を中心に、取引関係の実態を理解する事例分析を行い、新事業開発に至った事例を元に成功要因を明らかにする。 ■企業間連携の構築と情報共有に関する中小企業を対象にしたアンケート調査 アンケート調査を実施する前段階として行った、企業間連携、アライアンスに関する文献研究について、レビュー論文としてまとめる予定である。調査票が完成していることから、今後、予備調査を行う。回収率を高めるため、どのような地域の中小企業に配布するか、関連組織と連携した調査が可能であるかを検討している。まず予備調査を実施し、その調査結果を集計・分析する。この結果から調査票の再修正を検討するとともに、広範囲の中小企業を対象とした調査を実施し、先に挙げた仮説を検証する。また、特徴的な企業を洗い出し、連携後に情報共有がイノベーションにどのように影響を与えているかを調査する。
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Causes of Carryover |
共同研究のメンバーが集まって研究状況を確認する機会が失われたこと、中小企業等へのインタビュー調査も限られた範囲に限定されたことから、旅費交通費を中心に未使用の費用が発生している。また調査票作成に時間を要したことから、アンケート調査実施に関する中小企業データの購入、調査票発送費用等を使用しなかった。 令和3年度には、予備調査および広範囲でのアンケート調査を実施する予定であり、中小企業データの購入および調査票発送費用を使用することになる。また、年度後半にはメンバーが集まっての調査結果のデータ確認、分析結果に関する意見交換の実施、分析結果の学会報告等を行う。さらに、特徴的な企業へのインタビュー調査の実施を検討する。これらを実行するために旅費交通費も使用することになる。
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Research Products
(2 results)