2022 Fiscal Year Research-status Report
小売技能に基づく競争優位獲得とその移転可能性分析ー中小小売商業研究の新視角探求ー
Project/Area Number |
20K01981
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
向山 雅夫 流通科学大学, 商学部, 教授 (00182072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白 貞壬 流通科学大学, 商学部, 教授 (60400074)
趙 命来 香川大学, 経済学部, 教授 (60582228)
渡邉 孝一郎 香川大学, 経済学部, 准教授 (60616671)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 中小小売商 / 小売技能 / 小売技術 / 中小小売商の村立基盤 / まちの本屋の小売技能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、小売商人が職人として遂行するユニークな小売技能を探求することである。さらには、プロフェッショナルな技能を持った小売商人の地位を現実的にも理論的にも再評価し、中小小売商の存在意義並びに発展可能性を明らかにすることが本研究の狙いである。本年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響があったものの、現地フィールドワークを実施することができた。今年度は、近年書店が急激に減少している中で、独立系書店と言われるまちの本屋を中心にインタビュー調査を行なった。2022年4月には、研究代表者と分担者の1人が京都の独立系書店にインタビュー調査を実施した。2022年7月には、研究事例探索や現地フィールド調査に関する研究会をオンラインで実施した。2022年9月には、研究代表者と分担者3人全員が熊本と福岡の独立系本屋3店舗に訪問し、インタビュー調査を実施した。その後、現地でインタビュー内容に基づいて書店の小売技能に関する研究会を行なった。2023年1月には、書店のフィールドワークで得たデータの分析を通じて、店舗デザイン技能(Store design skill)、人的ネットワーク構築技能(Human network building skill)、選書技能(Book selection skill)などの書店の小売技能を明らかにし、国際学会(IFDC2023)で報告を行なった。現在、これら概念のさらなる検討を行いながら、書店の小売技能に関する原稿を執筆中である。本年度においても、新型型コロナウイルスの影響により現地フィールドワークを中心とする本研究の方法論が影響を受けたが、一部の成果を国際学会で報告できたため、一定の成果があったと思われる。ただし、新型コロナウイルスの影響により、本来の計画よりも少し遅れたため、研究期間を来年度まで1年間を延長し、研究を続けることにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、ケーススタディによる定性分析を通じて仮説探索を行うものである。初年度の2020年度には、本研究の鍵となる概念を整理するなどの理論的研究や個別事例の実態把握に注力した。2021年度には、新型コロナウイルス感染症の影響で予定通り研究が進まなかったものの、初年度の調査を踏まえ、小売技能概念の精緻化に取り組みとその成果として研究業績を出している。今年度の3年目においても、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながら現地フィールド調査を実施したが、計画通りの調査を行うことができなかった。書店を中心にインタビュー調査を実施することはできたが、小売技能概念の一般化可能性を検討するための十分な現地フィールド調査ができなかったため、現段階では予定の研究成果に十分に達していると言いにくいと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、小売技能に関する理論的な検討は十分に進んでいる。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、現地調査が不十分な状況である。そこで、来年度以降は、個別事例の調査を増やし、各事例を分析して中小小売商人にどのような小売技能が存在しているのか明らかにする。さらに、個別事例の比較分析を通じて、小売技能の共通点と相違点を明確にし、小売技能概念をより精緻化することを目指す。
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Causes of Carryover |
本プロジェクトの開始と同時に始まった新型コロナウイルス感染症は国内外の移動に支障をきたしており,そのために国内外における実地調査が予定通りに行われていなかった。その第8波流行もようやく収束し,対策緩和ムードが高まっている中,計画はしていたものの実施できなかった研究調査を計画通りに遂行する必要があり,そのために次年度の使用額が生じた。 次年度には,既存の研究体制の再整備や改善に努力しつつ,これには必要な備品の購入や実務家および専門家への講演の依頼など人件費・謝金が含まれる。プロジェクト資金の割り当ての再調整で次年度の使用額の一部はアジア諸国への先進事例の探索に充てられる。これには通訳および現地コーディネーターへの人件費・謝金,必要なツールや資材の購入,調査や研究のための予算などが含まれる。当初の研究目標の達成までにもう一年必要になってくるが,せっかく延ばしていただいた1年を無駄にせず,研究メンバーそれぞれの任務を再確認に,割り当てられた資金を有効に活用しながら,目標達成に挑む。
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Research Products
(3 results)