2021 Fiscal Year Research-status Report
The role of Ama in regional revitalization: regional power as social capital
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20K02060
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
小暮 修三 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (60554912)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 海女 / 漁村 / 地域力 / 地域活性化 / 過疎高齢化 / 社会関係資本 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、原始からほぼ変わらぬ形で素潜り漁を生業とする「海女」が、如何に地方活性化の要となり得るか、その潜在力を提示し、過疎高齢化の進む漁村地域の活性化の一助となることにある。 海女の潜在力とは、その潜水技術や資源管理のみならず、それらを支える女性を中心とした共同性(社会関係資本)、並びに、その地域・継承活動にこそある。そして、このような海女の存在は、海女自身も含めて過疎高齢化の進む漁村地域の活性化の要となり得ると考えられる。 その潜在力を提示するため、本研究では、海女文化の振興を謳う地域、並びに、海女漁の多く行われている地域である12県13地域において、その共同性の在り方と地域・継承活動についての実態調査、対象としては、海女、海女の所属する漁業協同組合や地域共同体(自治会等)、地域行政(県及び市町村)等に対するアンケート及び聞き取り調査を行い、地域活性化への潜在力(地域力)について考察してゆくものである。 2021年度は、上記内容に関するアンケート及び聞き取り項目の作成、調査対象者の具体的選定等を行い、先ずは文面によるアンケート調査、並びに、アンケート・データの集計及び分析を行った後、6県6地域(鳥取県鳥取市、静岡県下田市、石川県輪島市、福井県坂井市、三重県志摩市、徳島県美波市)における聞き取り調査、並びに、三重県で行われる海女サミットへの参加を予定していた。 しかしながら、2019年度末からの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行による東京都(本研究代表者の居住地)の「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」を受けて、アンケート及び聞き取り項目の作成、調査対象者の具体的選定等を予定通り行ったものの、上記6県6地域における聞き取り調査は、三重県で行われた海女サミットへの参加を除き、未実施(延期)である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度は、上記(研究実績の概要)で触れた「海女の潜在力(地域力)」に関する聞き取り項目のブラッシュアップ、並びに、調査対象者の具体的選定等を予定通り(4-5月)行った。 しかしながら、当初予定していた紙媒体による質問票の送付については、調査者(本研究代表者)が東京在住者であるため、新型コロナウイルス感染症の流行(以下、コロナ禍)による東京都の「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」への対応という観点から、その調査方法を見送ることとし、現地調査において、質問票及び聞き取り調査を同時に行うように研究方法を変更した。 この調査方法の変更に関しては、紙媒体とは異なる形(メールやSNS等)での対応についても検討(及び、WEBフォームの作成)を行ったが、調査対象者である海女の方々には高齢者が多いため、調査対象者の一部に対してのみ、あくまで予備調査的な位置づけで実施した。その結果、現地調査において質問票及び聞き取り調査を同時に行う方が、本研究に即した調査結果を得られるとの判断から、その研究方法を変更したものである。 2021年度の現地調査については、「研究実績の概要」に記した通り、6県6地域を予定していたが、そのすべてを2022年度以降に延期した。ただし、三重県鳥羽市で開催された「海女サミット」については、スピーカーとして檀上での発表も含めて参加し、各地域における現地調査への協力体制を確保した。 また、調査対象者に対しては、現時点においても、コロナ禍が治まった際には現地調査が即可能なように、密に連絡を取り合っており、いつでも現地調査が可能な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020-2021年度は、上記(現在までの進捗状況)で触れた通り、現地調査において質問票及び聞き取り調査を同時に行うように調査方法を変更したものの、現地調査は延期とした。 そもそも、2022年度の現地調査については、本来の最終年度として2県2地域しか予定しておらず、今後は、2020年度以降に予定していた10県11地域について、便宜的な地理上の区分、すなわち、関東(千葉・静岡)、中部(三重)、山陰(山口・鳥取・徳島)、九州(福岡・長崎)、北陸(福井・石川)、東北(宮城・岩手)の6地区に分け、地区ごとの長期(10日間以上)に渡る現地調査を行う。なお、2022年5月末段階で、既に九州(福岡・長崎)地区の現地調査を終わらせており、7月には関東(千葉・静岡)地区、8月には山陰(山口・鳥取・徳島)地区、10月には中部(三重)地区の現地調査を行う予定である。 この長期現地調査に関しては、大学における遠隔会議や遠隔授業の普及等から、コロナ禍における不幸中の幸いとして実施可能となっており、かつ、いつでも現地調査の実施が可能なように授業を含めた学内業務の事前準備を済ませているゆえ、十分可能な状況である。また、2022年度中には、6地区中4地区の現地調査を実施するため、コロナ禍による研究期間延長が可能であれば、本研究における当初計画の遂行は十分可能な状況である。 しかしながら、このような今後の方策は、すべてコロナ禍如何にかかっているため、最悪の場合でも、遠隔による「現地」調査も可能になるよう、ICT環境の整備等も含め、臨機応変な対応が可能なように調査体制を整えている。
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Causes of Carryover |
本研究代表者は、東京在住者であるため、新型コロナウイルス感染症の流行(以下、コロナ禍)による東京都の「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」への対応、並びに、地方在住高齢者の多い調査対象者への配慮という観点から、2020年度の現地調査のみならず、2021年度に計画されていた現地調査、計10県11地域の調査をすべて延期とした。 それゆえ、両年度内の使用額については、基本的に、コロナ禍においても実施可能な遠隔による「現地」調査も考慮に入れたICT環境の整備等も含め、臨機応変な対応が可能なように調査体制を整えるための物品費が主な支出となった。なお、2021年度は、現地調査を円滑に行うための研究会(研究者のみ)、並びに、海女サミット(主催側以外は遠隔参加)への参加のみ可能となり、旅費の一部が発生している。 2022年度以降については、当初の研究計画通り、12県13地域での現地調査を行う予定である。また、現地調査が可能になり次第、その結果については、WEB等で発表する予定も変更されていない。
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