2023 Fiscal Year Annual Research Report
多文化共生と排外主義の関係性とその帰結:日豪比較を通じた理論化に向けて
Project/Area Number |
20K02070
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
塩原 良和 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (80411693)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多文化主義 / 多文化共生 / 排外主義 / 移民・外国人 / オーストラリア / 日本 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、サバティカルを利用してメルボルンに1年間滞在し、研究を行った。まず、オーストラリアの移民・難民・先住民族政策についての文書資料の収集・検討や現地調査をメルボルンおよびキャンベラで進めた。その一方で、シドニーで開催されたオーストラリア日本研究学会で研究報告を行ったほか、モナシュ大学日本研究センターやメルボルン大学で行われたセミナーにおいても研究の途中成果を報告し現地研究者との交流・意見交換を行うことができた。そして国際的な学術雑誌であるJapanese Studiesに、査読付き論文(英文)が掲載決定になった。 さらにモナシュ大学の研究者と、日豪における移民・ジェンダー研究者の交流ワークショップを共同で企画した。これは23年度中には実現できなかったが、25年度までの開催を目指して引き続き調整を進めている。さらに、やはりモナシュ大学の研究者などと共編著Japanese Migration to Australia(仮題)の出版プロジェクトを立ち上げ、出版企画書を作成して寄稿者の内諾を得たうえで、英語圏の著名な出版社に企画書を提出した。この企画書は現在出版社において審査中である。その傍ら、本研究の成果を反映した単著の執筆を進め、原稿の大半を書き終えることができた。 本研究の目的は、民族・文化的マイノリティへの排外主義を抑制するうえでの、多文化共生/多文化主義の公式理念や施策のもつ有効性と限界を明らかにし、多文化共生/多文化主義と排外主義の関係性を分析する新たな理論的視座を提起することであった。研究期間中、コロナ禍で予定どおり計画を実施できないことはあったものの、日豪比較分析を通じた理論化を実施して単著としてまとめるという最大の目的をほぼ達成することができた。
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