Action Research on Building the ICT Learning Support System toward Immigrant Children

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K02077
• Research Institution: Ritsumeikan University
• Principal Investigator: 小澤 亘 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (30268148)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 岡本 尚子 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (30706586) ; 楠 敬太 大阪大学, キャンパスライフ健康支援センター, 特任研究員(常勤) (70770296) ; 今枝 史雄 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (70824118)
• Project Period (FY): 2020-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: DAISY多言語教科書 / グローバル支援ネットワーク / アクション・リサーチ / 外国にルーツを持つ児童生徒 / 帰国児童生徒 / 日本語教育 / 母語教育 / ICT

Outline of Annual Research Achievements

本研究プロジェクトでは、外国にルーツを持つ児童生徒のためのグローバルな学習支援ネットワークを構築し、DAISY多言語教科書（日本語・ポルトガル語対訳）を制作することによって、外国にルーツを持つ児童生徒の日本語・母語学習支援を目指している。2020年度は、東京書籍小学校国語教科書の1学年～6学年用テキストから30単元を精選し、教科書著作権協会および各著作者より、ポルトガル語への翻訳、DAISY教材化、公衆送信に関する著作権許諾の手続きを行った。ポルトガル語翻訳は、日系ブラジル人グループおよびサンパウロ大学DAISYプロジェクトが当たり、サンパウロ大学ハシモト・リカ教授が最終校閲を担当した。DAISY化・日本語録音は、共同研究者今枝史雄のもと、大阪教育大学グループが担当した。
立命館大学DAISY研究会のサイト（rits-daisy.com）に日本語・ポルトガル語ページを増設し、完成したDAISY多言語教科書をアップロードしている。利用希望者からの個別申請の手続きを経て、IDとパスワードを発給し、DAISY多言語教科書をダウンロードできるようにした。日本に在住する日系ブラジル人児童生徒、サンパウロ市内の日系学校であるアルモニア学園等の生徒、および、サンパウロ大学日本語学科で学ぶ大学生を想定している。
大阪市立小学校2校において、DAISY多言語教科書を含めた既存のDAISY教材を使って、計5名の児童生徒に対して週1回の頻度で、個別学習支援を行い、実証研究を進めている。ただし、コロナ禍のため、一時期、支援活動ができなかった。支援の効果については、過年度（2019年12月）に実施した諸検査（STRAW、DEM、レ―ブン色彩マトリックス検査、ATLAN語彙検査、東京都自尊心検査）と学びや支援に関する評価検査を支援対象者に対して実施し、支援の効果ならびに支援方法の評価を行った。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2020年度が新しい検定教科書への移行期に当たっていたため、教科書原本の入手に手間取り、DAISY多言語教科書作成スケジュールが遅延した。また、実証研究を大阪市立小学校で実施する際も、コロナ禍のため、一時期（2020年4月～7月および2021年3月以降）フィールドに入れなくなるなど、大きな影響を被った。

Strategy for Future Research Activity

Rits-DAISYサイトにアップロードされたDAISY多言語教科書の有効活用が課題となる。日本国内では、大阪市立小学校での支援活動を継続するとともに、日系ブラジル人集住地域や日系ブラジル人学校での活用を模索する。学校関係者とのワークショップを通じて、こうしたデジタルツールを使用した外国にルーツを持つ児童生徒の学習支援について、広く関係者の声を拾い上げる聞き取り調査の機会を設ける。併行してブラジルでは、サンパウロ大学DAISYプロジェクトに委託し、サンパウロ市内の日系学校であるアルモニア学園等での活用を追求するとともに、サンパウロ大学日本語学科で大学生教育に活用してもらう。そして、それらの効果に関する聞き取り調査を併せて委託する。
これらの効果分析に基づき、DAISY多言語教科書のさらなる質的な向上を探究する。具体的には、ポルトガル語での肉声音声の入力、ポルトガル語・日本語単語の対応表ページの追加などの教材の質的な向上を想定している。
DAISY多言語教科書の活用と並行して、単元ごとに予習・復習できるワークシートを工夫して、遠隔地にいても自立的に学習支援ができる法を考究する。また、マイノリティ児童生徒が、積極的に楽しく学べる工夫も併せてiPadを用いて研究していく。
次年度に実施する予定であるブラジル・日本の間以外で、同様なDAISY多言語教科書制作連携ネットワークの構築の可能性を検証していく調査について、アンケート票ドラフトを作成し、調査実施に向けた準備を開始する。
研究の成果については、学会報告ならびに論文等の出版により、広く社会への発信を進める。

Causes of Carryover

東京書籍小学校国語教科書に関わる著作権許諾費用が、当初の見積もりの初年度一括払いから各年度ごとの支払いになった。また、コロナ禍のため、国内・国外ともに、学校等にフィールドワークをする機会が持てなかった期間があったため、支援活動費用の執行が十分できなかった。これについては、当初の支援校以外にDAISY多言語教科書の活用の場を増加させていくことを模索する。GIGAスクール構想の実現により、小学校で児童生徒1人につき、1台のPCもくしはタブレットを持たせる学校が多くなったことにより、購入予定のiPad台数を削減した。これらの予算については、支援活動の見直しなどにより、DAISYおよびEPUB形式のテキストの再生ソフトの購入に充てていく予定である。

Remarks

https://rits-daisy.com/?page_id=425　このページから、制作したDAISY多言語教科書が登録申請した者に対して、IDおよびパスワードを発行して、ダウンロードできるようにした。

Research Products

• [Remarks] 立命館大学DAISY研究会
  • URL: https://rits-daisy.com/