2022 Fiscal Year Research-status Report
Action Research on Building the ICT Learning Support System toward Immigrant Children
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20K02077
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
小澤 亘 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (30268148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 尚子 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (30706586)
楠 敬太 大阪大学, キャンパスライフ健康支援・相談センター, 特任研究員(常勤) (70770296)
今枝 史雄 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (70824118)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | DAISY多言語教科書 / グローバル支援ネットワーク / アクション・リサーチ / 外国にルーツを持つ児童生徒 / 帰国児童生徒 / 日本語教育 / 母語教育 / ICT |
Outline of Annual Research Achievements |
日系ブラジル人児童に対するICT学習支援の実践研究を昨年度に引継ぎ継続した。大阪市の公立小学校2校をフィールドとして、支援対象児童生徒の特長に則して、一つの学校では、(多言語)DAISY教科書や既存学習アプリを活用して支援実践を、また、もう一つの学校では、OMELET「つくるんです」と既存学習アプリを活用して支援実践を実施した。 9月と2月には、第2回目および第3回目の読み能力検査(視線追尾検査、STRAW-R、レーブン色彩マトリックス検査、DEM検査、ATLAN語彙検査、自尊心検査、支援に対する当事者意識アンケート)を実施し、支援効果のアセスメントを行った。児童生徒の特性によって、支援効果はさまざまである。語彙能力でみると、支援児童生徒3名中、2名にはその向上が見られ、うち1名は、学年相応のレベルに到達することができた。語彙能力の向上が見られない1名の児童生徒も、自尊心検査では向上が見られた。STRAW-R検査では、いずれも、読み書き能力の向上が見られたものの、3名中2名は、読み困難児童と同等程度のレベルを脱していない。他の1名(語彙能力で学年相当レベルに到達した生徒)は、読み書き能力は全般的に向上したが、依然として、カタカナの苦手さを克服できていない。 算数の問題を使った視線追尾検査からは、「分かち書き」が読みやすさに大きく影響していることが明らかになった。また、紙の印刷物で提示した場合とiPadでDAISY化した形で提示した場合の違いについては、その違いを詳細に分析しているところである。 サンパウロ大学においては、教育学部の日本語短期教育コースで、6名の学生に対して、多言語DAISY教材数編の活用が試みられた。多言語DAISY教材化された日本の小学校国語教科書が、ブラジルの大学における日本語入門教育においても有効であることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サンパウロ大学DAISYプロジェクトにおいて、コロナ禍やPCトラブル等のためにポルトガル語の肉声録音作業が大幅に遅れた。次年度には、サンパウロ大学において、プロジェクト体制を整え、多言語DAISY教材30単元分のポルトガル語肉声録音と単元ごとにキーワードをポルトガル語と日本語とで対照表としてまとめた「ことばの学び」の付加が完了する予定である。 このため、日本国内における多言語DAISY教科書の本格活用も遅れた。ただし、ブラジルにおける多言語DAISY教科書の活用においては、サンパウロ大学哲学・文学・人間科学部における日本語・日本文学講座において、多言語DAISY教科書を用いた日本語教育を本格的に実施する前に、教育学部の短期日本語コースで試行的に実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
外国人児童が抱える学習上の困難性は多様であり、それら一つひとつの原因を分析し、それらの乗り越えを具体的なICT学習支援に結びつける実証研究が必要となる。3年間にわたって、実施してきたICT学習支援実践をもとに、これまでの学会発表などを基盤として、論稿をまとめていく予定である。 多言語DAISY教科書については、次年度での完成(ポルトガル語の肉声録音、「ことばの学習」付加)を目指す。こうした作業が終わり次第、rits-daisy.comにこれらのファイルをアップし、愛知県内の市町村教育委員会に働きかけを開始する。こうした本格運用により、多言語DAISY教科書の日系ブラジル人児童に対する活用に関して研究を進めていく予定である。 併せて、ブラジルにおいては、サンパウロ大学哲学・文学・人間科学部における日本語・日本文学講座において、多言語DAISY教科書を用いた日本語教育についても、本格的に実施する。これにより、多言語DAISY教科書が移民送り出し国側の日本語教育においても有用であることを授業アセスメントにより検証する。 加えて、サンパウロ大学DAISYプロジェクトとの連携に基づき、スペイン語版の多言語DAISY教科書制作も進め、ポルトガル語以外の言語についても、多言語DAISY教科書制作の実現可能性をアセスメントしていく。
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Causes of Carryover |
サンパウロ大学DAISYプロジェクトに委託したポルトガル語の録音と「ことばの学び」付加作業の遅れに伴い、予算金額45万円ほどの精算が、1年間ほど遅れている。サンパウロ大学DAISY研究会の責任者であるハシモト・リカ教授と対応を協議し、遅くとも次年度の前半までに、上記委託作業を完了させ、プロジェクトの次なるステップに移行することを目指す。 愛知県内の市町村教育委員会に働きかけに伴い、出張旅費等の出費や多言語DAISY教科書のサイトアップ費等の支出を予定している。
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Research Products
(4 results)