2021 Fiscal Year Research-status Report
東アジア福祉国家の外国人母子家庭と子どもの貧困についての国際比較研究
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20K02081
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
山西 裕美 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (00320482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 香男 フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (80410059)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 外国人母子家庭 / 子どもの貧困 / 東アジア / 家族主義福祉国家 / 国民国家 / 新自由主義的家族主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の2021年度に予定していた研究活動は、外国人母子家庭に関する各国の法律や行政施策等についての資料や文献研究に加え、日本や台湾、韓国での調査協力依頼や現地での当事者・支援団体・行政等対象の調査等支援組織や機関への調査協力依頼であった。海外調査のタイミングを計ったが、一昨年度より世界に拡がった新型コロナウイルス感染拡大により、外務省の感染症危険情報でも韓国、台湾は継続して「レベル2」で不要不急の渡航制限や帰国後も隔離措置があったため、現地での調査研究協力依頼等が実現できなかった。 しかし、本研究テーマに関しオンライン研究会を開催し、国内における移民花嫁や結婚で日本に移住した外国人女性の現状と課題について講師を招き、専門的見地からの研究報告や質疑応答を通して、研究テーマに関する知見を深める機会を設けた。 また、日本在住の外国人母子家庭の実態を把握するため、在日本大韓民国民団関係者の協力を得てZoomによるインタビュー調査を実施し、韓国人母子家庭と子どもの現状について理解を深めることができた。その結果、外国人女性の場合、夫との離婚による滞在ビザ延長の問題が大きな壁となっていること、子どもに日本語の通訳・翻訳を頼らざるを得ないため子どもにとって大きなストレスとなっていること、滞在ビザや言語、母子家庭への偏見などから、外国人母子家庭は出身国および日本のコミュニティや行政へアクセスしにくい状況におかれていることが判明した。 さらに、勤務校では緊急事態宣言相当の発令がある地域への出張が自粛となっていたため、オンラインにて今年度の双方の研究計画の作成、研究テーマに関連する専門家を講師に招いてのzoomを用いた勉強会の計画などを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度末からの新型コロナウイルス感染拡大の影響が、2020年度に引き続き2021年度に入ってからも年度を通して治まらなかった。外務省の感染症危険情報でも韓国、台湾は継続して「レベル2」で不要不急の渡航制限や帰国後の隔離措置があったため、機会を窺ったが現地での調査研究協力依頼等が実現できなかった。 国内においても、2021年度も全国的な感染状況の広がりと、それに伴うまん延防止等重点措置の発令や勤務校での移動規制が、研究活動や生活の様々な面において影響を及ぼし、研究計画通りに研究を進めることは難しい状況だった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度も新型コロナウイルスの影響を受けることが考えられるが、それを踏まえて以下の研究活動を予定している。 第一に、引き続き国内外国人に対する各国の施策についての文献収集や文献研究を行う。また、外国人女性の暮らしの実際についても情報を得て研究を深める。その一環として、今年度も昨年度のように、本研究テーマに関連する専門家を講師とした勉強会や日本での外国人女性を支援している関係者にインタビューを実施し、研究テーマに関して知見を広げる。 第二は、新型コロナウイルス感染状況に対し可能な範囲ではあるが、日本国内で外国人母子家庭の支援団体や組織にアプローチをして調査研究への協力依頼を行う。地方で暮らす外国人母子家庭支援や、都市で暮らす外国人母子家庭支援の団体やキーパーソンから現状のヒアリングを行い、国内での都会と地方の違いを比較し、分析や考察を行う。この場合、日本在住の多くの国々の人々を対象として状況を把握するようにする。 第三として、渡航可能な機会を窺い、予定していた韓国や台湾での外国人母子家庭支援団体や組織への調査協力依頼を進めていく。 2022年度は、ワクチン接種効果も徐々に表れることと思われ、より行動範囲を広げた研究活動が可能だと予想される。年度内に海外渡航の可能性が見えてくれば、本研究の予定通り、海外での調査研究へ向けて状況を整えていきたい。
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Causes of Carryover |
2019年度末からの新型コロナウイルス感染拡大の影響が、2021年度に入ってからも年度を通して収まらなかった。海外調査のタイミングを計ったが、一昨年度より世界に拡がった新型コロナウイルス感染拡大により、外務省の感染症危険情報でも韓国、台湾は継続して「レベル2」で不要不急の渡航制限や帰国後の隔離措置があったため、機会を窺ったが現地での調査研究協力依頼等が実現できなかった。 国内においても、一年間に亘りほぼ連続した全国的な感染状況の広がりと、それに伴う国の緊急事態宣言の発令やまん延防止対策重点措置の発令などによる移動規制が、研究活動の様々な面において影響を及ぼし、2021年度予定していた研究計画通りに研究を進めることは難しい状況だった。 次年度使用額については、上記理由により2020年度・2021年度に行えなかった調査研究活動を、2022年度には徐々に行っていくに伴い使用する予定である。
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