2021 Fiscal Year Research-status Report
The Effects of Region-oriented Education on Place Attachment and Workplace Selection
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20K02107
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
李 永俊 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (10361007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 真一 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (90636458)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地域志向教育 / 就職地選択行動 / 地域愛着 / 地域間移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大学における地域志向教育が大学生の地域愛着や就職地選択意識に与える影響について明らかにすることである。本研究では、大学教育のなかでも地域志向教育が大学生の地域愛着意識と就職地選択意識に及ぼす影響について、出身地に留意しつつ、追跡調査のデータを用いてその因果関係を明らかにする。 2021年度には、第2回目の「大学生の地元意識と就業に関する調査」を2019年4月入学者が3年次となる2021年10月に実施した。計画サンプル数1265名に対して731名から回答が得られた。また、2019年と2021年の両方の調査に回答したのは569名であった。追跡調査が可能だった569名に対し、差分の差分法(Difference in Difference)を用いて、地域志向教育の教育効果を検証して、報告書として取りまとめる作業に入っている。そして、2020年度投稿した論文のレフェリーから指摘があった単一大学のサンプルであるために一般化が困難であるという指摘を改善するために、東北、中国、四国、九州地方の若者を対象としたネット調査を2022年2月に実施した。現在は調査結果を精査し、論文の改善を図っている。 2回目の調査分析を通して、研究目的に抱えていた地域志向教育が大学生の地域愛着と就職地選択行動に及ぼす影響については暫定的な結果が得られた。就職地選択においては、地域志向教育の効果は限定的であるが、地域愛着には一定程度効果が認められるという結果が得られた。また、地域志向教育だけでなく、サークル活動や地域ボランティア活動などが地域愛着を高めていることが明らかになった。また、研究実施計画では、2021年度後半に第2回目の調査を実施する予定だったので、ここまでは計画通りに調査研究を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の期間中に明らかにしたい具体的目標として、以下の4点をあげている。①大学での地域志向教育が地域愛着及び地元就職に及ぼす影響を明らかにする。②小中高教育課程における体験型地元志向教育と地元愛着との関係を明らかにする。③労働需要制約、賃金格差などが地方大学生の就業地選択行動に及ぼす影響を明らかにする。④以上の実証分析結果を踏まえて、有効な地方回帰促進策を検討する。また地域住民、行政、移住経験者などを交えて、地域内で共有可能な地方回帰促進策を提案する。 2021年度は、第2回目の「大学生の地元意識と就業に関する調査」を実施することができ、569名から追跡が可能なデータを得ることができた。パネルデータを用いて差分の差分法で分析した結果、①に掲げた地域志向教育が地域愛着及び地元就職に及ぼす影響を明らかにすることができた。また、レフェリーからの指摘を受け、全国調査を実施することができ、分析結果を一般化することも可能となった。以上のことから当初の計画以上に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では大学入学時、就職活動を開始する3年時、就職活動が概ね終了した4年時の3時点の追跡調査を行うことで、地域志向教育が地域愛着や地元就職に及ぼす影響を解明することを目指している。 2019年と2021年の第1回目と第2回目は順調に調査を実施した。2022年度には第3回目の「大学生の地元意識と就業に関する調査」を2022年10月頃に実施する予定である。2022年度後半には得られたデータの詳細な分析を実施し、労働市場の条件によって就業地選択行動がどのように変化したのかを明らかにしたい。また、最終年度に当たる2022年度には調査報告書および学術論文を関連学会および学会誌に発表したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナの感染拡大によって、予定していた国内学会および国際学会が全て完全リモート形式で行われたため、未執行が発生した。次年度は研究実施計画では予定していなかった、高校生を対象とした地域間移動性向に関するアンケート調査を拡大実施する予定である。その追加経費として使用したい。
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