2023 Fiscal Year Annual Research Report
The Effects of Region-oriented Education on Place Attachment and Workplace Selection
Project/Area Number |
20K02107
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
李 永俊 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (10361007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 真一 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (90636458)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地域志向教育 / 就職地選択行動 / 地域愛着 / 地域間移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、地方大学における地域志向教育が大学生の地域愛着や就職地選択行動に与える影響を明らかにすることである。具体的には、地域志向教育が大学生の地域愛着意識と就職地選択行動に及ぼす影響を、出身地を考慮した追跡調査データを用いて因果関係を解析した。 2019年4月に入学した学生が卒業を迎える2023年3月に、「大学生の地元意識と就業に関する調査」の第3回目を実施した。計画されたサンプル数は1061名で、216名から回答を得た。1年次から4年次までを追跡できた216名のデータを用いて、構造方程式モデル(SEM)およびプロビットモデルを用いて地域志向教育の教育効果と就職地選択行動を検証し、その結果を報告書及び学術論文として公表した。 分析の主な結果として、地方大学生の初職地選択行動に最も強い影響を与えるのは出身地、すなわち実家の所在地であることが明らかになった。また、体験型の地域志向教育や地域内の社会関係資本、初任給が初職地選択の決定要因であることも確認された。地域志向教育は地元愛着を高め、若者の地元志向を強化するのに貢献していることも明らかになった。また、青森県出身者のほうが、出身地以外で就職する際に補償として求める初任給が高い可能性を示唆しており、逆説的に青森県内で就職する効用が高い可能性があることがわかった。そして、地元就職率を向上させるには、大学の取り組みだけでなく、それ以前の教育機関と連携した長期的なシステム構築が必要であると提言した。 ただし、本分析に用いたデータは4年間の追跡調査であるため、回答者のセレクションバイアスが生じていることが指摘されている。この点については、分析結果のロバスト性に疑問が残るため、今後の研究課題として取り組みたい。
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