2021 Fiscal Year Research-status Report
福祉国家以前と以後の政治テクノロジー:仏19世紀以降の刑罰・公教育・社会的保護
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20K02115
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
前川 真行 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 教授 (80295675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北垣 徹 西南学院大学, 外国語学部, 教授 (50283669)
白鳥 義彦 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (20319213)
中村 征樹 大阪大学, 全学教育推進機構, 教授 (90361667)
村澤 真保呂 龍谷大学, 社会学部, 教授 (80351336)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フランス19世紀 / 統治テクノロジー / 福祉国家 / 自由主義 / ネオリベラリズム / ミシェル・フーコー / 家族 / 宗教 |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研共同研究の二年目にあたる本年度は、一年目の基礎研究を受けて、つごう7回の研究会を開催し、各研究分担者による担当部分についての研究の深化、その報告が行われた。新型肺炎の流行により、研究会としては共同研究者以外にも範囲を広げつつも、やむを得ず、遠隔のみでの開催となった。 ただし個別研究の進展はそれぞれに順調に進み、研究成果の中間報告として、共同で成果報告を行うこととし、年度の半ばからは、それぞれの研究の報告会を行うこととなった。 中村はCh. Dupin によるいわゆる職人層への社会教育としての科学/工学教育の実践を、また白鳥はCNAM, Science-Poなど、いわゆるGrands ecoles についての報告を行った。また本年より研究協力者として定藤博子(阪南大学)、渡邊拓也(大谷大学)の参加を得て、それぞれ前者によりポーランド労働移民についての、後者にはダルマーニュを中心に人格概念の形成について報告を行った。さらに北垣はFustel de Coulange を取り上げ19世紀の家族概念について、前川は前年度に引き続きFoucault を中心に刑事政策について理論的検討を行った。以上の成果の一部は、神戸大学社会学研究会『社会学雑誌』no. 39(印刷中)で公表される予定である。 共同研究全体としては、19世紀における社会概念の多様性により注目が向けられ、いわゆる非国家的側面、すなわち人格、家族(家)、そして宗教の果たした役割に関心が集まり、これらは引き続き次年度の課題となるった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年から引き続いた新型感染症の影響のため、研究成果の社会的な共有という点で、移動を前提としていた活動、つまり当初予定していた研究集会の開催しての交流、資料収集等は、本年度も、一定の制限を余儀なくされ、それらを次年度以降へと繰り越すこととした。 ただし、研究成果の公表に制約が生じたため、その代替策として、当初の予定を変更し、二年目にあたる本年度を中間発表のための年度と位置づけ、それに向けた準備を行った。現在印刷中のその報告は、来年度に公表される予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
移動を前提とした研究活動については、現段階では来年度も一定の制約のもとに置かれざるをえないことが予想されるため、現段階の計画としては、遠隔を中心とした活動や活字による研究成果公表に重心を移してゆくこととする。ただし状況に変化があればハイフレックス等、あらたな成果共有の方法も試みることとする。 順調に進めば6月までに中間報告の公表が行われるため、これら中間報告への反応や批判を取り入れ、すでにこれまで明らかになりつつある更なる課題についての、研究の深化を進めてゆきたい。
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Causes of Carryover |
昨年度に続き本年も新型感染症の影響のため、当初予定していた研究活動に支障が生じた。研究活動はもっぱら個人研究と遠隔を中心とした研究の共有に重心を移さざるをえなくなった。また、論文発表による中間報告を選択したことによって、移動費、謝金、研究会の開催のための人件費等にはとりわけ大きな影響が及んだ。 次年度については、費用の一部は、現在印刷中の成果報告書の印刷及び配布に充当することとする。またハイフレックス方式などを積極的に行いそのための機器にも充当する。もちろん移動を伴う研究活動、研究集会等が可能となれば、それに充てることはいうまでもない。 また中間報告を母体としたさらなる研究の進展のためにあらためて、研究会へのゲスト研究者を招聘しての研究会開催等、余剰資金を充当する。
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Research Products
(19 results)