2023 Fiscal Year Annual Research Report
Reenactments in Deriberations
Project/Area Number |
20K02116
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
小宮 友根 東北学院大学, 地域総合学部, 准教授 (40714001)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 会話分析 / エスノメソドロジー / 裁判員裁判 / 再現実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は研究成果を「実践の論理を描く」「仮想身体と再現身体」「知覚経験の再現実践」の合計3本の論文にまとめることができた。「実践の論理を描く」においては、主として晩期ヴィトゲンシュタインの思考とエスノメソドロジー・会話分析研究、とりわけ相互行為の中の知識、身体、こころの研究との接点を検討し、本研究の課題である身体的な再現実践の記述の理論的/方法的基盤について明確にした。「仮想身体と再現身体」においては、これまでモデル身体と呼ばれてきた現象の中に、新たに「仮想身体」「再現身体」と呼びうる現象があることを示し、そうしたモデル身体を用いることが、評議において被告人や被害者の行為やその意図を参加者が推測、理解しようとする上で重要な役割を果たしていることを示した。「知覚経験の再現実践」では、再現身体が被告人や被害者が「見ていたであろう/見ていたはずの」ものを推測・理解するためにどう用いられているかを検討し、知覚を公的に「再現」可能なものとして扱う実践の分析をおこなった。 以上の成果は、再現実践の構造と、裁判員裁判の評議においてその実践が果たす機能をあきらかにするという本研究課題の目的を一定程度達成するものである。とりわけ、身体や知覚といった「個人的」とみなされがちな対象が、他者からも理解可能な公的な構造を持ち、その構造のもとで実際に他者の行為や経験を理解することがおこなわれており、そのことが裁判員裁判のような社会制度の重要な要素となっていることを示すことができた点は、人間のコミュニケーションの構造とその社会的・制度的機能をあきらかにするという大きな課題に貢献するものであると考える。 また研究期間全体を通じては、本研究課題を基課題として国際共同研究強化(A)の助成を受けることができ、本研究課題の成果をより発展させるための足掛かりも得ることができた。
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Research Products
(5 results)