2020 Fiscal Year Research-status Report
災害後世代による災害記憶の継承にかかる地域メディアの役割に関する国際共同調査
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20K02127
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山中 速人 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (80191360)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 災害記憶の継承 / インドネシア火山災害被災者 / 阪神淡路大震災 / 震災後世代の災害意識 / コロナ禍被災意識 / コミュニティメディア / 災害記憶継承番組 |
Outline of Annual Research Achievements |
インドネシア側カウンターパート(ATMA-JAYA YOGYAKARTA大学、TUTURA-FM放送局)および日本側カウンターパート(FMYY神戸市長田)と、関西学院大学総合政策学部科研研究班が2020年10月に研究覚書を締結し、インドネシア側カウンターパートによる被災地住民に対する災害記憶継承に関する意識調査を実施した。 日本側からの研究者参加は、コロナ禍による渡航困難によって実現しなかったが、オンラインによる連絡/議論を綿密に行うことで、現地調査をインドネシア側が全面的に担当し、調査は滞りなく実施され、インドネシア語/英語による報告書が2021年3月に提出された。 日本側では、阪神淡路大震災被災地の3つの大学(関西学院大学、神戸常磐大学、兵庫県立大学)の学生(有効サンプル749)を対象に2020年6-7月に意識調査を実施し、結果の分析が行われた。その成果は2021年9月刊行予定の『総合政策研究』に論文として発表が予定されている。なお、この意識調査では、コロナ禍についての意識を聞く質問群も加えられた。 並行して、日本側では、日本側カウンターパートであるFMYY(神戸長田)と共同で、阪神淡路大震災の記憶を継承するための3つの異なったタイプの番組コンテンツの制作が2020年10-12月に行われた。番組は、2021年1月に完成した。番組のタイトルは、「人間が語り継ぐ阪神淡路大震災」「データで語り継ぐ阪神淡路大震災」「映像で語り継ぐ阪神淡路大震災」の3番組である。これら3番組を対象世代に視聴させる反応調査は2021年度に実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍による渡航制限によって、インドネシアでの共同調査を実施することが困難となった。 しかし、オンラインによる研究会議や打ち合わせを頻繁に実施することで、また、インドネシア側研究者に現地調査を委託することで、調査研究をおおむね予定通りすすめることができた。 日本側での意識調査については、大学での質問紙調査が、コロナ禍によるキャンパス閉鎖の影響をうけ、実施困難となった。しかし、インターネットをつかったウエブアンケート調査に調査手法を変更し、とどこおりなく実施することができた。 災害記憶を継承する3つの番組制作については、被災者インタビュー、撮影、スタジオ収録のそれぞれの過程で、厳格なコロナ感染対策が求められたため、制作作業が遅れ気味となった。しかし、FMYYの多大な協力をえて、年度内での制作完了をみることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、20年度に制作した3つの震災記憶継承のための番組の視聴反応調査を予定している。ただ、調査を予定している地域は、イギリス型変異ウイルスの感染が急激に拡大している神戸周辺であることから、調査方法をグループインタビュー法からオンライングループ面接法などに変更することを計画している。 また、インドネシア側でも、火山災害の記憶継承を目的とする被災地ラジオ局による番組制作と、その反応調査を予定している。この調査方法についても、コロナ感染状況によっては変更等があることを想定し、十全な準備と対策をとることを予定している。また、もし感染状況に改善がある場合は、日本側から、インドネシア現地放送局に要員を派遣し、共同制作を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
インドネシアのカウンターパートに調査を依頼した結果が、コロナ禍のために報告書の提出が遅れており、今年度前半に延期されたためである。 2021年度としては、20年度に制作した災害記憶継承のための報道番組の反応調査を実施する。そのための費用として、支出の予定である。また、インドネシアにおいては、火山災害の被災地の放送局で、災害記憶継承のための番組を制作し、その評価調査を実施する。
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Research Products
(2 results)