2021 Fiscal Year Research-status Report
Gender and Disaster Resilience: A study of women's faith-based relief activities in Japan
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20K02135
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
CAVALIERE PAOLA 大阪大学, 人間科学研究科, 特任准教授(常勤) (10769582)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 災害 / ジェンダー / 宗教社会学 / エンパワーメント |
Outline of Annual Research Achievements |
全国的にジェンダー・多様性の視点による防災・災害対応の政策が大きく前進しているが、先行研究では(研究課題16K04064)その進捗に著しい差がみられ、災害時に実践的なジェンダー視点のやり方はまだ反省されないという課題もある。本研究のテーマは「ジェンダーと災害レジリエンス:宗教団 体に所属する女性による復興活動の研究」であり、「災害・ジェンダー・宗教」という3つの研究動向をつなぐものとして宗教的背景に基づいた女性による支援活動によって災害の被害を乗り越えようとする女性たちの社会貢献活動を検討する。そこに関わる脆弱性(vulnerability)/レジリエンスの問題についてより一歩を踏み出し、災害時と復興支援活動時の女性の活動を市民社会セクターとの関連を重視しながら、市民社会運動との相違点に焦点を絞りつつ検討する。学際的なアプローチによって被災や復興において差異を生み出すジェンダーの脆弱性を調べながら宗教的背景にあるリソースによる災害に対するレジリエンス構築に貢献する女性の役割とコミュニティにおける女性のエンパワーメントを明らかにすることを目的とする。またグローバルな規模で新型 コロナウイルス感染症の拡大が、女性の雇用や生活面、家庭内の性別役割分業意識などに深刻な影響を及ぼして脆弱性を増やし、新たな災害脆弱性の側面が現れた。この課題を今年度から本研究に取り込み、コロナ禍の中の宗教団体に属する女性の社会貢献活動と、コロナ禍の中で宗教団体に所属・無所属の女性がどのような支援を求めているか、そして宗教団体がどのような対応や支援活動を行うことを検討することにした。コロナ禍と宗教やスピリチュアリティとの関係性について調べながら、心身の健康に関わるスピリチュアルケア活動と連帯感に寄与するようなスピリチュアリティの存在感が増えたと見える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年2月ごろから新型コロナウイルスの世界的流行および日本各地の防疫対策措置の厳しい影響により、1年目の2021年度中の予定していたサーベイ調査(聞き取りインタビュー、観察調査、現地での資料収集)と国内外学会発表を調整せざるを得なかった。対策や情勢を注視しつつ研究の実施可能性を探っていく必要の中、フィールドワーク活動への対象宗教団体にZoomなど上でやや取材できた。しかし予定していた国内外学術会議への参加、発表などが多くの場合延期や中止となったため、以前より国内外学術会議への発表できなかった。一方災害(コロナ禍を含む)とジェンダー研究と宗教的社会貢献援活動に関わっている他の研究者とネットワークや情報交換は行えた。また、フィールドワークを引き続き実施しながら、編集委員長として本研究に関連するハンドブック編集計画(東京MHM出版社と契約中、2023年に出版予定)に務めて進んできた。また日本社会と女性にコロナ禍のインパクトや宗教団体からのコロナ禍支援活動やコロナ新時代に向けた社会について研究テーマにも取り組んで論文を出した。全体的に研究の進捗状況はやや遅れていると言わざるを得ないが、本研究課題の計画は4年間であるため全体的な研究計画も含めて検討を続ける。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は日本の新型コロナウイルスに関する感染状況に注視しつつ、国内での現地サーベイ調査(聞き取りインタビュー、観察調査、現地での資料収集)が実施する予定。2022年4月現在、新型コロナウイルスに係る制限・規制が緩和されおり、次年度はフィールドワークとこれまでのオンライン調査に基づくデータ収集と主な文献を用いて、コロナ禍や災害と地域社会の対応について分析することを中心に行う予定。国内で研究発表を引き続き、国外はウクライナ戦争に注視しつつ国際学会に対面発表できる可能性も踏まえる。研究の方向性を修正しながらすすめる予定。
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Causes of Carryover |
2021年度に長期の現地調査を予定していたが、新型コロナウイルス措置による現地調査と国内外会議参加と発表は一部見送らざるを得なかった。そのため、旅費として計上していた分を次年度にまわす。次年度使用額として生じた助成金について、2022年度末までに制限緩和やワクチン接種が進んでいけば旅費に使うことを計画している。その段階では旅費として計上し、研究用の人件費と物品費としても計上する。
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Research Products
(7 results)