2020 Fiscal Year Research-status Report
外国人の「権利獲得・擁護」モデルの「多文化共生」創出にむけた研究
Project/Area Number |
20K02137
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
鄭 栄鎭 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 特任講師 (70748227)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 在日外国人 / 在日朝鮮人 / 多文化共生 / 社会運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大阪府東部自治体をフィールドに設定し、「相互理解・尊重」モデルの「多文化共生」の限界を指摘し、外国人の「権利獲得・擁護」モデルの「多文化共生」の理念と施策の創出をはかるものである。 研究計画初年度である2020年度は、同自治体における在日朝鮮人による社会運動とその成果、また、行政等の外国人施策の現況を検証することを目的とした研究会を数度にわたって計画していた。しかし、新型コロナウィルス感染拡大のため、対面での実施を断念せざるを得なかった。 2020年度は以上のように研究計画の実施に一定の制約が生じたため、まずは新聞報道や文献資料等から、1945年以前より現在に至るまでの同市における在日朝鮮人、外国人の暮らしを明らかにすることにつとめるようにした。これによって、同市では1945年以前にすでに会社経営などで「成功者」と報道される朝鮮人が存在したこと、また、在日朝鮮人によるコミュニティ団体が組織されていたことを「発見」した。これらの成果は、本研究を連携するNPOによる市民向けの講座にて報告し、研究成果の社会的還元を行うことができた。あわせて、現在、同市でNPOが実施する外国人の子どもを対象とした母語教室を観察し、それにより、外国人の生活上の困難や教育での要望などを把握し、かつ、教室の成果や課題などを理解するようにつとめた。 2021年度は、感染状況を見据えながら、対面、オンラインのハイブリッドでの実施を予定しており、これにより、現況の外国人施策と支援の到達点ならびに未達点を明らかにし、外国人の実態・要求と施策等の乖離や、より、外国人の実態に即した施策や支援のあり方について検証を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染が想定以上に拡大したため、数度にわたり予定していた対面での研究会が、所属機関の方針により開催できず、また、オンラインでの実施を予定したが、講師の都合や機器類等の整備に手間がかかり開催できなかった。国内外の外国人コミュニティへの訪問調査も当初研究計画で予定していたが、同様の理由でできなかった。しかし、一方では、1945年以前の在日朝鮮人の暮らしを新聞報道や文献資料等で掘り起こすことにつとめ、これらについて論文化はまだであるが、一定の成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は対面のみでの研究会は開催できなかったが、2021年度にかんしては、所属機関の方針に沿った感染防止対策を施した上で、対面、オンライン双方での研究会の実施を予定している。研究会では、本研究のフィールドとなる自治体おける外国人施策や教育、同市の外国人支援NPOによる支援の現況、過去の外国人の社会的権利獲得のための運動などの検証を行っていく。そのため、同市の職員やNPOスタッフ、当時の運動一線にいた当事者を招いて実施する。また、新型コロナウィルス感染の状況をふまえつつ、所属機関のガイドラインに沿いながら、他市への訪問調査を行い、外国人施策や支援の状況などの把握に努め、比較検討を実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度は研究会や現地調査が実施できず、そのため、人件費・謝金および旅費がほぼ執行できなかった。2021年度は新型コロナウィルス感染の状況をふまえ、所属機関のガイドラインに沿いながら、研究会と現地調査を調査協力者などとともに実施していく予定であり、そのため、人件費、旅費が今年度も必要となっている。また、当初計上していた物品購入についても今年度に行う予定としている。
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Research Products
(3 results)