2021 Fiscal Year Research-status Report
性加害行為があった知的障害者へのグッドウェイモデル適用からみる地域生活継続要因
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20K02198
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
山崎 康一郎 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (30635868)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森久 智江 立命館大学, 法学部, 教授 (40507969)
水藤 昌彦 山口県立大学, 社会福祉学部, 教授 (40610407)
我藤 諭 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (90808263)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 性加害行為 / 知的障害 / 認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究全般にわたって、研究分担者3名、研究協力事業所(障害者福祉事業所)の協力を得て遂行した。 研究全体としての到達点はニュージーランドでLesley Ayland & Bill West(WellStop,Inc:community-based organization)によって開発・実践されている性加害行為に対する包括的な治療教育プログラムであるグッドウェイ・モデル(GWM)を日本の福祉事業所において試行することである。まず、GWMを安全かつ効果的に導入するために、2020年度に通常の支援に加えて心理教育プログラムを試行的に導入した。内容はSSTのグループプログラムであり、6か月間で5回実施した。これについて、2021年度に、心理教育導入による支援への影響を明らかにするためにインタビュー調査を行った。心理教育プログラムの実施については、2021年度はさらに実施を拡大し、グループ心理教育プログラムを定期的、継続的に実施する体制を構築し、年間を通してプログラム実施した。心理教育プログラムの内容は、性加害行為に対する包括的なプログラムに含まれているが、性加害行為を直接扱わず、再加害リスクを高めることにつながらないものとして、対人関係スキルの獲得(Social Skill Training)、自身の感情への気づき、境界線の学習、非機能的認知への気づきとし、年間通じて14回実施した。そして、心理教育プログラム実施による影響を明らかにするために、実施後にプログラム実施者および受講者へのインタビュー調査を行った。 また、GWMの試行は、安全に実施するという観点から個別面接にて行う予定であるため、研究協力事業所において、個別面接実施のための研修を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
GWMの試行にむけて、心理教育プログラムの実施については計画どおりに進行しているが、出張ができない状況により、以下の研究内容に遅れが生じている。 GWMを実施するために、プログラム実施方法や社会制度的な状況に関して、ニュージーランドへの現地調査を実施する予定であったが、2020年度~2021年度にかけて実施できていない。 また、インタビュー調査も現地を訪問できない状況があり、研究協力者の募集ができず計画が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
Good Way Model(GWM)の安全で効果的な導入のための実践研究について継続して段階的に実施する。2022年度は、グループ心理教育プログラム、個別面接の2形態において、GWMの考え方や方法を用いた試行を行っていく。グループ心理教育プログラムは、2021年度に継続的な実施が可能であったものを回数を増やし、実施方法をより効果的なものへと修正して実施していく。なお、扱う内容は2021年度と同様で、性加害行為を直接扱わず再加害リスクを高めることにつながらない、良好な対人関係構築に焦点を当てたものである。個別面接においては、知的障害者へ適用するために考案された実施方法のうち、二元論、外在化、ナラティブという主要な要素を取り入れて試行していく。GWMを、性加害行為に対する介入としての試行を目指すが、今年度においては、窃盗等、他の非行・犯罪行為も対象として介入を行う予定である。 また、性加害行為のあった知的障害者への支援状況の把握、治療教育プログラム導入における課題抽出のための調査研究を計画している。支援状況の調査では、非行・犯罪行為や性加害等の加害行為があった知的障害者・発達障害者への支援経験のある支援者へのインタビュー調査を行う。ただし、研究協力事業所における研修等の実施が困難な状況が2年間継続したため、研究協力者との関係の再構築を行いながら、調査研究の準備をすすめていく予定である。 GWMに関する基礎的研究としてニュージーランドへの現地調査を計画しており、研究分担者を中心に、遂行していく。
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Causes of Carryover |
2021年度の研究費の使用予定では、調査研究のための旅費が大部分であったが、研究出張の延期が生じており、2020年度に続き2021年度も計画通りの使用とはならなかった。2022年度に可能となり次第、延期していた出張を行う予定である。旅費の主な使用計画としては、調査研究における研究対象者募集のための出張や福祉事業所へのインタビュー調査、心理教育の実施における協力福祉事業所への訪問、その他、研究会の開催や研究成果の発表である。また、状況に応じてGWMに関するニュージーランドへの現地調査を行う。加えて、インタビュー調査データの分析のために人件費・謝金等が発生する。
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