2020 Fiscal Year Research-status Report
Household budget management as a preventive measure against poverty in aged society
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20K02254
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
大塩 まゆみ 龍谷大学, 社会学部, 教授 (90269738)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 家計 / 長寿社会 / 貧困防止 / 家計簿 / 老後不安 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、新型コロナ流行のため、イタリアでの国際学会に参加ができなかったが、日本の老後の防貧のための家計管理についての分析を進めた。 具体的には、統計資料から、金融資産の動向や消費動向、家計調査、年金保険料、老齢年金受給額などの年次推移の表・グラフを作成した。 これまでに集めた過去10年間の家計相談事例、約300例を使用し、1)相談内容の分析、2)ファイナンシャルプランナーのアドバイスの分析、3)家計簿の赤字の要因分析、4)貯蓄金額と保険金額等の集計と分析等を行った。 さらに母子家庭と有子家庭について、児童手当受給の有無や教育費・保育費、学資保険支出等の動向を分析した。 これらの結果から、家計相談内容としては、老後の不安や家計管理の仕方がわからない、という人が多いことがわかった。また、老後の不安と公的年金額の減少傾向から民間の保険や年金に加入する人が多くなっているということが明らかになった。家計収支上は、赤字であるが、実際は、預金や民間保険に多額の保険料を支出しているので、赤字になっている世帯も多く見られた。このような動向は、自助による老後の備えができる余裕のある世帯とそうでない世帯の貧富の格差や老後の格差を生み出すと考えられる。最近は、母子家庭の数が増えているが、必ずしも母子家庭が赤字とは限らない。ただし、収入は少ない家庭が多く、倹約し、やりくり上手な母子家庭が多いという結果が現在では得られている。 今後は、引き続き、家計簿診断の事例を分析するとともに、他の統計資料(家計調査報告)から全国的な動向を把握し、老後の防貧のための対策を考えたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は、新型コロナ流行のため、予定していた国際学会が延期され、研究発表の機会を逸した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ感染が収束すれば、国際学会で発表する予定で研究を進める。同時に、統計・資料の分析を多角的に行う。今後の状況次第では、アンケート調査を実施する。
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Causes of Carryover |
2020年度は、当初の計画どおりの研究ができる状態ではなかったので、次年度に持ち越すことになった。 状況にあわせて、出張・調査費等に充当する。
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