2023 Fiscal Year Annual Research Report
日本における皆年金体制確立に関する歴史及び財政の検証
Project/Area Number |
20K02264
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
中尾 友紀 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (00410481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畠中 亨 立教大学, コミュニティ福祉学部, 准教授 (70750818)
百瀬 優 流通経済大学, 経済学部, 教授 (00386541)
吉中 季子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (70434800)
宮地 克典 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (80814962)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 皆年金体制 / 国民年金 / 支給開始年齢 / 厚生官僚 / 行政事務 / 老齢年金 / 母子年金 / 遺児年金 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、皆年金体制が日本の福祉国家体制の形成にどのように影響したかを明らかにするために、皆年金体制の基盤である国民年金に焦点を当て、その形成過程等を分析するものである。これまでに、研究代表者1名と研究分担者4名、研究協力者1名の計6名で国民年金研究会を開催し、そこで報告された内容についてメンバー相互に議論を重ねながら研究を進めてきた。 2023年度は同研究会を2回開催した。各研究会で報告された内容は次の通りである。第1回は社会保障研究会との共催で、中尾友紀による「国民年金創設時の制度審と厚生官僚」と宮地克典氏による「国民年金創設時における支給開始年齢と拠出期間の決定過程」、第2回は御澤晴人氏による「日本における国民皆年金体制の変遷-行政事務の変化に着目した分析-」。 2020年度から2023年度までの4年間では、初年度に社会保険文庫から複写され保管されていた国民年金関係資料をPDF化し、史資料として整理できたため、以後はメンバー各自で当該資料を自由に用いて分析することができた。とはいえ、財政分析については、いつの何の資料かが判明しなかったり、複写の精度が低く、そもそも内容が読み取れなかったりしたために、当該資料での分析が困難であった。また、理論分析についても、財政分析を踏まえることができなかったこと、コロナ禍が影響して歴史分析に遅れが生じたことで、期間内には十分に実施できていない。 しかし、本研究では、各メンバーによって特に歴史分析として創設時の老齢年金や母子年金、遺児年金の制度設計に加えて、その運用を図る事務組織を分析することができ、さらに、不十分ではあるが、理論分析として歴史分析を踏まえて皆年金体制の社会保険概念や生活保障概念への影響について議論できた。
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