2020 Fiscal Year Research-status Report
The development of the training program on queer social work in Japan
Project/Area Number |
20K02267
|
Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
長澤 紀美子 高知県立大学, 社会福祉学部, 教授 (50320875)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西梅 幸治 高知県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (00433392)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | SOGI(性的指向・性自認) / ソーシャルワーク / LGBT / クィア理論 / 社会福祉士養成教育 / LGBTQ / ソーシャルワーク教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、アメリカ・カナダにおける社会福祉専門職教育における性的指向・性自認に関する教育指針や教育内容及び先行研究におけるクィア・ソーシャルワークの実践について文献レビューを行い、その概念を整理した。「クィアに肯定的な(queer-affirmative)ソーシャルワーク」は「自己の振り返りを深く行うこと」を特徴とし、「LGBTQ+及びそのコミュニティに対する文化的感応力と社会正義に向けたソーシャルワーカーの訓練と継続的な実践」によって目指されるものであることを確認した(Arguello 2019)。 一方で、欧米各国では、大学専門職教育より以前の義務教育や中等教育の段階で、セクシュアリティの多様性やジェンダー平等の理念を含む包括的セクシュアリティ教育や性的指向・性自認等の違いに基づくスティグマや差別を人権侵害とする社会的公正教育が行われており、それらが日本の学習指導要領及び教育実践には不足している。2012年に中等教育で「ジェンダーと性の多様性に関するカリキュラム」が必修化されたオランダをはじめ、欧米各国では義務教育においてセクシュアリティや家族の多様性に関する学習が必修化あるいはテキストに盛り込まれる傾向にあり、日本の福祉専門職教育もこれらの教育内容の一部を含めるとともに、教育者自身がまずはこのような価値を身に付けLGBTQ+の学生にとって安全安心な教育環境づくりに積極的に関与する必要がある。 以上から、基礎的な教育及び福祉専門職としての教育の双方の要素を含めた体系的な教育プログラムを今後検討するが、その主な焦点として、LGBTQ+クライアントやコミュニティのアイデンティティの交差性、ジェンダーに基づく抑圧や運動に関する日本及び国外の歴史、主要なメンタルヘルスや心理社会的問題の特徴とそれに対するミクロ・メゾ・マクロのレベルでの効果的な実践について扱うことする。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症拡大のもとでの遠隔教育への変更に伴う自身の授業配信にかかる負担の増加、また管理職(研究科長)として教育方法の変更等をはじめ大学院運営にかかわる調整や大学認証評価の準備の事務作業に忙殺されたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
体系的なプログラムの構築に向けて専門職教育の方針・内容と支援内容について文献レビューの結果を整理するとともに、今年度できなかった国内の養成校への調査、また国内での支援者に関する遠隔でのインタビュー調査等を計画し、日本におけるLGBTQ+に対する社会福祉専門職による支援の状況、また養成校での教育内容についても調査を実施する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大のもとでの学会を含めた国内外の出張が不可になり、旅費のほぼすべてを次年度に繰り越した。次年度も感染症の状況に影響されるが、移動が難しい場合には遠隔での研究会の開催や学会の参加の費用として支出したい。
|