2022 Fiscal Year Research-status Report
The development of the training program on queer social work in Japan
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20K02267
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
長澤 紀美子 高知県立大学, 社会福祉学部, 教授 (50320875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西梅 幸治 高知県立大学, 社会福祉学部, 准教授 (00433392)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | クィア / ソーシャルワーク / 社会福祉教育 / 社会福祉士 / 精神保健福祉士 / LGBT / 性的指向・性自認 / SOGI |
Outline of Annual Research Achievements |
イギリスのソーシャルワーク(以下SW)教育及びトランスジェンダーに関する文献研究や研究報告会を行い、次の点が明らかとなった。 イングランドにおいて、SW学部・大学院教育でAOP(反抑圧)実践について教えられた者は9割を超えている一方で、「公正・多様性・インクルージョン」に関して社会の変化に応じた情報の更新は少なく、内容が不十分であることが報告されている(SW England 2023)。またSW教育にトランスジェンダーの問題が含まれている証拠は殆どなく、一部には差別的なSW実践がみられることも明らかになっている(イギリス教育省 2018)。 以上から、LGBTQ+に対するSW教育の中でも性的指向と性自認の問題を区別すること、その中で軽視されがちであったトランスジェンダーの問題については、「社会モデル」に立脚して、当事者がバイナリーな社会の中で経験してきた「トラウマ」を理解しSW教育に組み入れる必要性を認識することが必要である。またAOP概念の理解のみならず、近年の社会情勢や法制度の変化に関する知識及び当事者コミュニティの声を反映した実践事例を通した、SW自身の自己覚知が必要であると考えられる。 その上で、これらの内容については国や地域ごとの差異を踏まえて適用されるべきである。とりわけ日本では性同一性障害者特例法(2003年成立)により、性別移行に関して手術を要件とする「医療モデル」を未だに採用し、他方、国際的には2022年に発効したWHOのICD-11において、性別違和に関する診断名は、性の保健健康の中の「性別不合」となり「人権モデル」へと移行するという制度面での矛盾を抱えていることから、その歴史的経緯、20 年間の病理化のもたらした影響や弊害、医療アクセスにおける課題についても実態を把握し、欧米との相違点を認識した上で教育内容を計画する必要があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
所属機関の管理職(学部長)に就任し、また大学認証評価への対応等、新たな業務負担が増加したため。
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Strategy for Future Research Activity |
LGBTQ+当事者の中でも、シスジェンダーに比べて自死念慮の割合が特に高い(釜野らによる大阪市調査 2019等)、トランスジェンダーに関するソーシャルワーク教育については英文、和文共に先行研究は多くはない。特にトランスフォビアの言説がSNSやメディアに蔓延している現在、十分な知識に欠ける支援者が差別に加担することにもなりかねないことがイギリスのSW実践でも明らかになっている。そのため、SOGIに関する教育の中でトランスジェンダーに関わる問題により焦点を当てるとともに、英米等とは異なる日本のコンテクストがSW実践や教育内容にどう反映するべきかを検討したい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のために調査や学会発表のための国内外の出張ができずに予算の残額が生じた。次年度はコロナ禍での行動制限が緩和されつつあるため、国内外の調査出張を行い、最終年度の報告に向けたデータ収集を行う。またトランスジェンダーの問題に最新の知見を持つ、分担研究者を1名増やし、分担研究として研究費を活用してもらう。
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