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2020 Fiscal Year Research-status Report

着尺用材料の作出に向けた芭蕉布繊維の解像

Research Project

Project/Area Number 20K02354
Research InstitutionOkinawa Institute of Science and Technology Graduate University

Principal Investigator

小泉 好司  沖縄科学技術大学院大学, イメージングセクション, リサーチ サポート スペシャリスト (60343563)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 野村 陽子  沖縄科学技術大学院大学, サイエンステクノロジーグループ, サイエンス・テクノロシ゛ー・アソシエイト (90302794)
Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords芭蕉布 / 顕微鏡観察 / イトバショウ
Outline of Annual Research Achievements

研究はじめである本年度は,計画書に基づいて,芭蕉布繊維やイトバショウ植物の形態についての観察,繊維についての引張試験,ワーハ(硬く: 財布などの小物やインテリ用)繊維からナハグ繊維(柔らかい: 着尺用)の作出実験を行った.
予備実験では測定数の足りないところが多々あったが,本年度でほぼすべての実験について補足することができた.その結果,ワーハ繊維に比べナハグ繊維は繊維が細いこと,繊維を構成する細胞の細胞壁が薄いことがわかった.また繊維の強度はワーハに比べナハグは弱いが,細胞壁の面積で換算すると,ナハグ繊維の強度はワーハの強度に近づくことが判明した.引張試験後の破断面についても観察することができ,ワーハとナハグ繊維の断面に大きな違いは認められなかった.偽茎横断面全体からナハグとなる繊維組織の数を計測する実験についても成功し,ナハグ繊維は全体の1~2割であることがわかった.繊維の単繊維長を解離法により単離し測定したところ,ワーハとナハグ繊維に違いはみられなかった.現在,本年度得られた上述の結果について,図・表としてまとめ,国際誌に論文を投稿するための準備を進めている.
ワーハ繊維からナハグ繊維を作出する実験についても進めている.まずワーハ繊維を,選抜・単離した微生物で分解し,抽出を行った.抽出した繊維について切片を作成し,壁腔比を測定することで細胞壁の厚みを測定した.また強度を調べるため,抽出した繊維について引張試験を行った.これまでに二度この抽出実験を行い,現在データを解析している.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

コロナ禍ではあるが,喜如嘉芭蕉布事業組合から芭蕉布繊維の材料ならびにイトバショウ植物体の提供を受けることができた.このため,実験室内での観察や引張試験を順調に進めることができ,当初の予定以上に進捗したと考えている.また実験観察での観察個体数についても,最低限ではあるが統計的に扱うことができる数を取得することができた.
現在,得られた顕微鏡観察や引張試験の結果をまとめ,英文誌に投稿する準備を進めているが,これは当初の予定より半年から1年くらい早く進んでいることになる.共同研究者の野村博士の進めている芭蕉布の研究についても,協同研究ならびに情報の提供を受けることができ,お互い良好に進んでいる.
芭蕉布繊維の硬さについて検討するため,繊維と植物体で,リグニン量やセルロースの結晶化度・配向を測定する計画については,今後進めていく予定である.リグニン量については,抽出による分析だけでなく,画像解析に基づいた定量法も検討しており,基礎的な実験を進めている.

Strategy for Future Research Activity

現在執筆を進めている論文について,できるだけ早い段階で投稿し,内容についての審査・判断を受ける.必要に応じ論文受理に向けた補足の実験を行う.
芭蕉繊維と植物体で,リグニン量やセルロースの結晶化度・配向の測定を進める.リグニンについては,顕微鏡画像に基づく定量法も試し,方法について確立するとともに蓄積量を調べる.セルロースやリグニンについて超解像顕微鏡を使用し,数十ナノメートルの解像度で微細構造を観察する.
ワーハからナハグ繊維の作出研究について実験を進める.これまでに顕微鏡観察で得られたナハグ繊維の特徴を参考にし,細胞壁の分解法など,条件や方法について再度検討する.新しい抽出方法についても試す.抽出した繊維について顕微鏡を用いた壁腔比の測定,引張試験,リグニンなどの成分分析を行い評価する.
執筆を進めている論文が受理・公開されたときには,内容についての日本語の紹介記事を書き,喜如嘉芭蕉布事業組合へ成果を報告する.本研究は研究者だけでなく芭蕉布に興味も持つ方々や生産者に得られた結果を還元することも課題であるので,英語で公表した内容については,多くの人々にわかるように日本語で紹介する.また学会などにも積極的に参加し,芭蕉布についての公告ならびに研究結果について報告する.

Causes of Carryover

2020年度に本学で植物イメージングについての専門家を招聘した会議を開催し,その時に本研究で進めている実験方法や解析方法についても議論したいと考えていたが,コロナウィルス肺炎の流行のため会議の開催が2021年度に延期した.

  • Research Products

    (2 results)

All 2020

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 琉球時代のスマートテキスタイル2020

    • Author(s)
      美谷 千鶴, 小泉好司, 佐々木敏雄, 柿原 文子, 野村陽子
    • Organizer
      繊維学会
  • [Presentation] 夏季衣料材料としての芭蕉布繊維の特性‐水分の保持・乾燥能2020

    • Author(s)
      美谷 千鶴, 小泉好司, 佐々木敏雄, 柿原 文子, 野村陽子
    • Organizer
      日本繊維製品消費科学会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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