2020 Fiscal Year Research-status Report
レタス種子によるアルツハイマー抑制:アミロイドβ誘導の時計遺伝子撹乱を改善するか
Project/Area Number |
20K02367
|
Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
岡田 悦政 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (60224036)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | アミロイドβ / 時計遺伝子 / アルツハイマー病 / 血液脳関門 / HPLC / ポリフェノール成分 / レタス種子抽出成分 / 細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
「研究の概要」アミロイドβ (Aβ) の蓄積はその毒性から細胞死を招く。また、アルツハイマー病(AD)の特徴は概日リズムの「ズレ」であることも報告されている。さらに、Aβによってもまた、概日リズムの撹乱が誘導されている。予防的および治療的見地から、食品由来成分によるAD抑制を目的とする研究において、実際、そのような成分は血液脳関門(Blood-Brain-Barrier: BBB)を通過することが出来るのかが問題となる。すでに、2014~2017年度科研費申請において、レタス種子抽出成分 (LSE) による時計遺伝子発現への影響を確認している。 「研究の目的」本研究は、Aβによる概日リズムの撹乱をレタス種子抽出成分によって改善することで、ADを抑制することを目的としている。すでに、LSEが時計遺伝子(Bmal1, Per1)及び時計制御遺伝子(Sirt1)発現に影響を与えることを報告している。しかし、Aβが誘導する時計遺伝子の「ズレ」「概日リズムの撹乱」を正常状態に近づけられるか否かが不明である。また、BBBを通過できるのかの問題について、LSEを単独および他の成分との組み合わせによるBBB通過を検討した上で、Aβによる時計遺伝子発現リズムの撹乱を改善し、AD抑制を目的としている。 「(2020年度課題)脳へ活性成分を届けられるのか」脳においてLSE活性成分を効果的に発揮させるため、BBB通過について検討した。 〈方法〉1.サンプルの調製 2.粗抽出物からHPLCによる分画を得る 3.細胞培養系(BBB in vitro 再構成系モデル:脳毛細血管内皮細胞、周皮細胞、アストロサイトによって構成)によるサンプルの通過実験 4.BBB通過サンプルの選択。 〈結果〉1.粗抽出物からHPLC分画より分画ピークを得た(フラクション34)2.BBB in vitro 再構成系モデルを用いてサンプル通過実験結果は、実験継続中であるが、レスベラトロール、カテキン類等いくつかのポリフェノール成分が通過することを確認している段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、コロナ禍にあり、特に研究実施場所は緊急事態宣言が度々発令されている状況で、その影響もあり、ピペットチップ等消耗品の入荷も困難な状況が継続している。このため、実施予定の研究の遅延を招いている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策 1)時計遺伝子の振幅リズムの測定(2021~2023年度)。 アミロイドβ(Aβ)による時計遺伝子振幅リズムの「ズレ」はどの程度生ずるのか。コントロールと比較し(ベースライン)、Aβ単独による経時的な時計遺伝子発現を測定し、発現の振幅リズムを検討する(研究分担者分担)。 2)サンプルは、Aβによる振幅リズムを改善できるのか。コントロール、Aβ単独における時計遺伝子の経時的変化による振幅ベースラインと比較し、Aβ+サンプルにおいて、どれくらい振幅リズムを改善できるのか検討する(2021~2023年度)。 「実験方法」1.細胞培養(マウス海馬神経細胞)の調整 2.同調培養後サンプルの添加(レタス種子抽出分画成分単独およびMixture)→ a.コントロール、b. BBB通過サンプル(経時時間) 3.PCR測定:Bmal1, Per1, Creb-binding protein (Cbp)について検討する(研究分担者分担)。
|
Causes of Carryover |
本年度実施計画においての実施内容は以下の通りである。 1)時計遺伝子の振幅リズムの測定(2021~2023年度)。 Aβによる時計遺伝子振幅リズムの「ズレ」はどの程度生ずるのか。コントロールと比較し、Aβ単独による経時的な時計遺伝子の発現を測定し、発現の振幅リズムを検討する。2)サンプルは、Aβによる振幅リズムを改善できるのか。コントロール、Aβ単独における時計遺伝子の経時的変化による振幅ベースラインと比較し、Aβ+サンプルにおいて、どれくらい振幅リズムを改善できるのか検討する(2021~2023年度)。 以上であるが、この「ズレ」を測定する重要な機器である「デジタルPCR」を購入することは必須である。しかしながら、本年度使用額では購入額が不足する。それ故、次年度使用額として計上した。
|