2022 Fiscal Year Research-status Report
レタス種子によるアルツハイマー抑制:アミロイドβ誘導の時計遺伝子撹乱を改善するか
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20K02367
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Research Institution | College of Nagoya Bunri University |
Principal Investigator |
岡田 悦政 名古屋文理大学短期大学部, 食物栄養学科, 講師(移行) (60224036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 瑞恵 愛知学泉大学, 家政学部, 准教授 (10173832)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 時計遺伝子 / アミロイドβ / アルツハイマー型認知症 / 遺伝子発現 / レタス種子 / HPLC / PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】Aβは神経細胞死を招くばかりでなく、Aβが概日リズムの撹乱を誘導することが示唆されている。本研究は、Aβによる概日リズムの撹乱を食用植物種子抽出成分によって改善することで、ADを抑制することを目的としている。すでに、レタス種子抽出物が遺伝子発現に影響を与えることを見出しているため、Aβが誘導する時計遺伝子の「ずれ」、「概日リズムの撹乱」を正常状態に近づけられるか否かについて明らかにすることを目的とした。 【方法】1)サンプルの調製:レタス種子はホモジナイズ後、熱水で抽出し、フィルター濾過し、HPLCにより分画をえた。2)Aβによる時計遺伝子振幅リズムの「ずれ」はどの程度生ずるのか。コントロールと比較し、Aβ単独による経時的な時計遺伝子の発現を測定し、発現の振幅リズムを検討した(分担者との共同研究)。3)サンプルは、Aβによる振幅リズムを改善できるのか。Aβ単独における時計遺伝子の経時的変化による振幅と比較し、Aβ+サンプルにおいて、振幅のずれを改善できるのか検討した(分担者との共同研究)。4)2〉、3)の実験方法: ヒト正常細胞は調整培養後、一定数蒔き、同調培養後、a, bを加え培養する。a. LSE単独 b. 食品成分。ヒト正常細胞の同調培養→サンプル添加→ a.コントロール、b. BBB通過サンプル→PCR測定:Bmal1, Per1, Sirt1について検討した(研究分担者との共同研究)。5) 遺伝子発現の測定: 遺伝子発現変化を検討する。〈サンプル実験〉 Aβ+LSEによる 3,4,5時間に測定。【結果】レタス種子分画ピーク1、ピーク2が得られ、2つのピークは、Aβの振幅のずれの改善が認められた。また、クロロゲン酸はサンプルより低い振幅のずれの改善を示した。また、分画ピークのSirt1に関し、有意差が認められた。 【結論】発現影響は、レタス種子分画成分が時計遺伝子のずれの改善に関わることに寄与する可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
進行状況は順調だと考えている。特に、期待以上の結果が得られ、サンプルの有用性が増し、その発展性のため、継続研究課題として新規科研費申請もお願いした次第である。これほどまでにサンプルによって時計遺伝子の「ずれ」が修正できたという驚きを得ており、ある部分実用段階への第1歩が記されたと考えている。 1) サンプルの調製により、HPLC分画成分を得たこととともに、その主成分もほぼ確認できた。2) BBB通過測定実験によりその通過可能性がa. LSE単独 (homogenate, HPLC分画成分) b. 数種類のポリフェノール成分単独あるいはアミロイドβとの組み合わせにおいて確認された。3) ヒト正常細胞は同調培養後、a. LSE単独 ( HPLC分画成分) b. 数種類のポリフェノール成分、あるいはアミロイドβとの混合物においてPCRによる遺伝子発現の測定において時計遺伝子のずれに関し、有意な発現変化を確認したため、ほぼ順調な研究進行であると考えており、今後は時間経過による時計遺伝子の経時的発現変化の測定、すなわち最終的に転写因子タンパク質の測定についてELISA kitまたは、電気泳動法による測定を行うのみである。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、本研究の最後の年度であり、サンプルについての発現タンパクへの影響を確認する作業となっている。 今後の研究について 1) 細胞培養:ヒト正常細胞は調整培養後、一定数蒔き、同調培養後、2022年度の結果を踏まえ、a, bを加え培養する。a. LSE単独 b. 数種類のポリフェノール成分と、あるいはアミロイドβとの組み合わせで細胞投与。2) 転写因子タンパク質による遺伝子発現の測定(研究分担者との共同研究):Bmal1, Per1, Sirt1について発現変化を検討する。a. 時間: 3,4,5時間のコントロールとなる時計遺伝子の経時的変化によるベースラインを得るため測定を行う。b. サンプル実験:a. Aβ+LSEによる3,4,5時間の測定。b. Aβ+数種類のポリフェノール成分による3,4,5時間の測定。タンパク測定kitまたは、電気泳動法による測定を行う(研究分担者との共同研究)。
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Causes of Carryover |
2022度の実験実施により、2023年度の予算不足が想定されていたため、次年度繰越を実施した。また、2022年度実験実施にあたり分担者との共同実験推進が可能となったため、分担者の分担額や、更なる実験実施にあたって実験費不足分に関し、分担者研究費からの供与や、研究分担者個人研究費等により2022年度研究が遂行可能となったため繰り越しを実施した。
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