2020 Fiscal Year Research-status Report
ケイパビリティアプローチに基づく学校外教育の効果測定と公教育システムのモデリング
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20K02451
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
福島 賢二 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (90582164)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 学校外教育 / 教育機会 / 教育方法 / 効果測定 / ケイパビリティ / 公教育システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自主夜間中学やフリースクール、日本語教室など、教育機会保障としての学校外教育が、既存の公教育システムとは異なる学習システムを有し、そのシステム(学習方法を含め)が既存の公教育システムからこぼれ落ちている人の教育機会保障に寄与していることを検証するための効果測定を行うことを目的としている。 研究初年度(令和2年度)は、2年目(令和3年度)の本格的調査のための、調査準備作業と事前調査の期間として計画してきた。 しかしながら新型コロナの感染拡大状況により、すべての事前調査が実施できないできた。具体的には、航空機や新幹線等、距離のある調査地への調査は特に厳しく、調査対象機関が教育機関であることから感染者の多い関東圏からの訪問することを拒む傾向が強いことや、教育機関であることから学習者への感染を恐れて訪問を拒否される状態にあった。 こうした調査が不可能な状況においてメール及びZOOMに基づくオンライン会議を行うことで、学習システム及び教育方法の情報を得ることができた機関もある。外国にルーツをもつ児童生徒に対して日本語支援を行ってきた日本語教室(埼玉県)がそれである。また、沖縄のフリースクールにおいても、メールでの連絡を何度か繰り返すことで、コロナ収束後にただちに調査に入れるような関係構築を行った。 加えて調査を円滑に行う一貫で、学習方法を現職教員が学び合う授業研究会(子どもの生活を豊かに楽しくする授業研究会)を立ち上げ、第1回研究会を3月に行った。 調査を行うための必要な機材・備品の準備もほぼ整備した。当初の予定通り、高速の処理速度をもつラップトップの購入に加え、聞き取りデータを印刷するためのプリンター等の備品を設置した。写真等の動画を処理するためのモバイルPCも準備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対面での調査が新型コロナの感染拡大の影響(緊急事態宣言を含め)で実施できなかったため、当初計画から「やや遅れている」と判断される。 しかしながらコロナ収束後に直ちに調査に入れるようなオンライン会議(事前調査)やメールによる関係づくりを可能な範囲で行ってきたため、今年度、コロナが収束し、調査が可能になれば、その遅れを取り戻せる可能性はある。 とはいえ、現在もコロナが収束しているわけではない。調査は、相手の了解があってはじめて実行可能なものとなることに十分に留意して研究を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、自主夜間中学やフリースクール、日本語教室など、調査可能な学校外教育機関に実際に調査に入り、当該機関の学習システムの確認をすることによって、次年度予定している効果測定の初期調査を行う予定である。 昨年度、オンラインで事前調査を行った日本語教室(埼玉県)については、学習方法についての情報が得られているので、今後、実地調査をすることでこれまで得た情報の確認とその詳細を確認していく予定である。 同様に昨年度、メールにて関係構築を行っている沖縄のフリースクールにおいても、先方の許す範囲で調査を進めていきたいと思っている。ただ同校が高齢者が学習者となっている夜間中学を併設しているため、コロナ感染拡大防止の観点から調査が許可されない可能性も考えられる。その場合コロナが収束するまでの間は、当該機関の調査は諦める。 代わりに関東近郊の学校外教育機関で調査を行う。近郊の調査地として埼玉、千葉、東京など、関東圏の自主夜間中学の調査を進めていく予定である。ただこちらも調査対象機関の利用者が高齢者が多いことから調査の許可がおりない可能性がある。 その場合は、外国にルーツをもつ児童生徒の日本語支援を行う日本語教室と、経済的困窮家庭の子どもの学習支援を行う学習支援教室に焦点をあてて調査を行っていく予定である。調査を考えている日本語教室と学習支援教室は現在、コロナ禍においても稼働中であり、関係構築もできているので、調査が行える可能性は十分にある。
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