2021 Fiscal Year Research-status Report
「学び続ける教員」の基盤の育成を志向する教員養成スタンダードの開発的研究
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20K02455
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
別惣 淳二 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (90304146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大関 達也 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (80379867)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教師像 / 資質能力観 / 体験と省察の往還 / 学び続ける教員 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度の研究は、まず、教員養成課程で学ぶ学生を対象に1年次から順次縦断的に実施した質問紙調査の記述を分析し、学部4年間における教師像と資質能力観の変化を示す。次に、学生の履修カルテの記述を分析することによって、学部4年間における体験と省察の往還としての学びの実態を示す。最後に、体験と省察の往還という観点から、学生の教師像と資質能力観の形成過程に見られる特徴を明らかにすることで、学部4年間の学生の学びを支援するために大学が留意すべき点を示唆する。 1点目の成果は、体験と省察の往還という観点から、教員養成課程における学生の教師像と資質能力観の形成過程を直線的な成長・発達プロセスではなく、過去と未来の間で行きつ戻りつしながら変化していく過程として明らかにした点である。 2点目の成果は、学生の教師像と資質能力観の形成過程に見られる共通性と多様性を明らかにした点である。共通性として明らかになったのは、教師像の変化の基盤には子どもとの関わりや子ども理解が存在しているという点である。その一方で、体験に含まれるものや、そこから学んでいる内容は多様である。体験は教育実習ばかりでなく、卒業研究やフィールドワークなどの探求活動も含まれていた。 3点目の成果は、学生の教師像と資質能力観の形成過程には、過去の教育体験が連続的に保持される過程と、ある出来事をきっかけにして非連続的に変化する瞬間がある、ということを示した点である。 最後に、体験と省察の往還という観点から、学生の学びを支援する方策としては、リフレクション関連科目や教育実践の事例研究等を充実させるために、過去の教育体験を記述しつつ意味づける作文が重要である。学生が教育実習で観察した事実やエピソードは実習記録に記される。それをもとにしたリフレクションの授業では、学生が話題にしない点を大学教員が学問的な知見から補う必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の連続性の観点から、当初の研究計画に示した調査方法と分析方法を使用せずに、これまで調査してきたデータを用いて、新たな分析手法で分析を行ったが、当初の研究の目的は達成できたため、「おおむね順調に進展している」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度の研究は、教員養成スタンダードの構築に向けて第1次調査として、近畿圏の指導主事や学校教員ならびに全国の大学教員、計1000人を対象に「「学び続ける教員」になるための基盤として教職志望の大学生が卒業時に小学校教員としてどのような資質・能力を身につけておく必要があるか」について質問紙調査を実施し、KJ法を用いて養成段階で小学校教員として身につけておくべき資質能力を確定する予定である。 質問紙調査を行う上で、調査対象者の選定と、どのような調査内容、調査方法で実施するのかを研究代表者と研究分担者が協議しながら決定していく。また、質問紙調査では回答者が回答しやすいようにMicrosoft Formsを使いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が増加したのは、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、学会の研究大会がすべてオンライン開催となり、計上していた旅費を使うことがなかったからである。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画としては、物品費19万円、謝金3万円、その他45万円を考えている。
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