2020 Fiscal Year Research-status Report
戦後改革期の家政学の再編に関する研究―明治期以降の学術移転の影響に着目して―
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20K02492
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
石渡 尊子 桜美林大学, 健康福祉学群, 教授 (40439055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日永 龍彦 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60253374)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 戦後教育改革 / 家政学 / 学術移転 / 生活学 / 生活科学 / GHQ / 森本厚吉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、1.戦前期家政教育に関わる学術移転の実態の解明、2.専門学としての家政学を構築していった関係者の学問的背景の解明、3.戦後占領軍側から紹介された米国のHome Economicsモデルの内実の解明を目的とし、20年度(初年度)においては、国外の調査(アメリカ、イギリス)を予定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から調査予定としていた大学アーカイブズもクローズとなりすべて見送ることになった。また国会図書館における資料調査においても入場制限等の制約があり、本務のスケジュール等の関係からも全く調査ができなかった。 唯一、現在150年史編纂中である北海道大学の大学文書館において資料調査を行うことができた、その過程において新制北海道大学において家政学部設立構想あったことが明らかにされた(「北大歴史ノート 第2話 北海道大学家政学部」『北海道大学150年史編集ニュース』第2号、2019年1月31日)。その構想内容、また誰の改革構想であったのか、またそのキーパーソンの学術的背景等の検討を行った。家政学部構想は、農学部内において高倉新一郎から提起されていたものであった。その内容は、家庭経済、消費経済を含んでいた。そうした国民経済に着目していた高倉の思想に影響を与えた人物が、森本厚吉であった。森本は札幌農学校において経済学者として教鞭を取った時期があり、生活経済に着目し、食料、住居、衣服等、人々の生活に着目し、『家政学通論』(1949)も執筆している人物である。同文書館では「申報」資料群(『札幌農学年報』、Report of Sapporo Agricultural College)の存在を確認することができた。引き続き、高倉、森本をキーパーソンとして検討を続けたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
事例研究を進めるために、関連する大学・学部の一次史料の調査が必要であったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりその機会を得ることがほとんどできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度実現ができなかった事例研究を一層深化させるために、関連大学・学部の一次史料の追加調査をできるだけ早期に実施する予定である。ただし予定している海外調査は21年度も困難であると想定されるので、国内調査に限定し、新制大学発足初期に家政学教育を開始した大学の家政学を構想したキーパーソンに焦点をあてる。
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Causes of Carryover |
予定していた資料調査を実施できなかったことが次年度使用額が生じた第一の理由である。そのため、国内の関連大学の資料調査を行う予定である。
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