2020 Fiscal Year Research-status Report
戦後の学校施設整備の展開と成果検証に関する研究-平成の時代を中心に-
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20K02495
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
屋敷 和佳 東京都市大学, 建築都市デザイン学部, 教授 (70150026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 勝己 東京都市大学, 共通教育部, 教授 (30200611)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学校建築史 / 学校施設行政 / 学校施設整備方針 / 学校施設整備計画 / 教科教室型校舎 / 政策検証 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、平成の時代を中心に戦後における学校施設整備政策の歴史の総括を試みることにある。具体的には、学校施設政策・施策の成否や成果・課題の分析を通じて政策検証を行うとともに、今後の学校施設整備への政策的含意を得る。 令和2年度に行った主な研究作業は、次のとおりである。 第1は、戦後の学校施設整備の動向、及び学校施設整備行政や施策に関わる文献の収集と整理である。教育及び建築関係の論文及び報告書、教育行政雑誌、建築雑誌、教育方法等に関する教育専門書、学校建築専門書等のリスト作成を進める一方で、収集した文献・資料より戦後の学校施設整備上のエポックの詳細について理解を深めた。 第2は、戦後より今日まで中学校教育の革新を図る校舎形態として開発されてきた「教科教室型校舎」に関する事例分析である。「教科教室制」を前提とする教科教室型校舎は平成の時代に入って新たな整備段階を迎える。平成以降の教科教室型校舎整備政策の分析につなげるために、これまでの研究蓄積において必ずしも十分に明らかにできなかった重要事例について、実践研究報告書や周年誌等から整備理念と経緯、教科教室制運営の実態、成果や教科教室制廃止理由等を探った。 第3は、自治体の小中学校施設整備に関する整備方針や整備計画策定に関する資料収集及び分析方法の検討である。国は近年、学校施設整備方針の策定を提唱する一方で学校施設の長寿命化計画の策定を自治体に求めている。市区のホームページから学校施設整備方針や長寿命化計画を含む整備計画の策定状況を把握し、国の政策が地方にどのように浸透しているかについて調べた。また、整備方針や計画内容の分析枠組みについて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
主として、コロナ禍により都道府県立図書館や市立図書館等が臨時休館したり、閲覧を制約するなどの措置が少なからず取られたりしたことから、文献資料調査を十分に行うことができなかったためである。 また、都道府県を超えた出張の自粛要請等があったため、聞き取り調査対象校や教育委員会への訪問も大幅に限られた。 1年次の研究内容の一部を2年次に繰り越し、一方で2年次に予定していた研究内容を前倒しして実施したが、それでも全体としては遅れがある。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍による図書館休館や図書閲覧の自粛要請が解除され次第、図書館での資料収集を再開する。また、学校や教育委員会への訪問聞き取り調査や施設見学も開始する。そしてコロナ禍が長引くようであれば、当初の研究計画をさらに見直す。 具体的には、先進的な自治体における学校施設整備政策の検証作業については、遠方の調査候補地を避け、調査受け入れが比較的認められやすいと考えられる近隣の自治体を調査対象に定めて進める等の工夫をする。 また、2年次以降は研究代表者や共同研究者とは異なる地方に居住する研究協力者に協力を求めて、その地方の資料収集と事例分析を依頼するなどの対応を図る。 さらに、もし図書館における資料収集や訪問聞き取り調査等に引き続き制約が生じる場合は、3年次に計画していた学校統廃合と施設整備の関連分析、標準設計の評価分析等を前倒しして着手する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、コロナ禍の影響により公立図書館等における資料収集、及び教育委員会や学校への訪問聞き取り調査が大幅に制約されたため、予定していた出張が一部にとどまったためである。加えて、同じくコロナ禍の影響により研究補助者を確保することができなかったためである。 コロナ禍の状況をみながら、2年次には都道府県立図書館への資料収集、及び教育委員会や学校への訪問調査を再開し、集中的・精力的に取り組むこととする。研究補助者作業分として予定していた経費については、2年次に見込んでいた作業を外部業者委託することが可能かについて検討する。
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