2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K02537
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
柳澤 有吾 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (90275454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天ケ瀬 正博 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (00254376)
米津 美香 奈良女子大学, 人文科学系, 助教 (50735446)
功刀 俊雄 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (70186427)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 道徳教育 / 「星野君の二塁打」 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、令和3年3月に研究成果として刊行した書籍『「星野君の二塁打」を読み解く』(以下、『読み解く』と略記)の成果を踏まえて、さらに考察を深めることに取り組んだ。 ①『読み解く』刊行後まもなく、教育専門紙における書評や地方紙・全国紙での紹介があり、とくに朝日新聞の記事についてはニュースサイトに転載されたり人気コンビによるYouTube番組で紹介されたりした。それに伴って投稿されたコメントも数多くあったため、あらたな分析対象を得ることにもなった。具体的には以下の通り。 ・日本教育新聞電子版に書評(大久保俊輝・亜細亜大学特任教授)(https://www.kyoiku-press.com/post-231273/, 令和3年6月14日)・徳島新聞電子版で紹介(https://www.topics.or.jp/articles/-/517204, 令和3年4月20日)・朝日新聞全国版令和3年7月5日朝刊で紹介(デジタル版https://www.asahi.com/articles/ASP756367P63UTIL015.html/, 令和3年7月6日)・上記の記事がYahoo!ニュースで取り上げられ、コメント約100件 ・YouTube「ロザンの楽屋」【道徳】星野君の二塁打(https://www.youtube.com/watch?v=Yre1uAySYxo, 令和3年7月10日) 上記の朝日新聞記事の内容も一部紹介され、約5万回再生、コメント約450件 ②『読み解く』をふまえてのオンライン研究会を令和3年10月に開催し、以下のような研究発表とディスカッションを行った(概要は本研究HPに掲載 http://www.kinet-tv.ne.jp/~yyanagi/hoshinokun.html)。 ・藤井佳世(横浜国立大学教授): 討議倫理学から見る道徳教育の展望と課題 ・有川淳一(小倉工業高校教諭): 「星野君の2塁打」から広がる世界、甲子園の土、そして高校での実践
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響で基本文献調査やその結果に基づく二次的探索を行えない状況が本年度も続いたため、その部分に関しては計画変更を余儀なくされ、基本的には入手可能な文献・資料をもとに各人が研究を続けることとなった。ただし、『読み解く』刊行で研究の基礎的な部分の検討は一定できており、その反響の分析を含め、さらに発展的な課題に取り組むことが今後の課題となっていることからすれば、一部軌道修正を強いられたとはいえ、全体として大きな遅延や欠落を生じているわけではない。内容的にはきわめて充実したオンライン研究会を開催できたことなども勘案し、全体としては「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究計画としては、『読み解く』の成果および課題の確認とともに、各分野個別の課題として以下の課題に取り組む。 ①歴史学分野:「星野君はどんな少年だったのか」の続編として、山本有三作品における星野君のルーツを探ること、および、吉田甲子太郎「一マイル競走」の原作探索。②教育学分野:文学(特に児童文学)における人間形成論的視座についての検討、および、道徳教科書における児童文学の役割とその特徴についての考察。③心理学分野:物語の教育効果に関する心理学的研究のリサーチと検討、および、権威(独裁)への服従と「犠牲の論理」についての検討。④哲学・倫理学分野:『読み解く』執筆後に浮上してきた新たな課題―「犠牲/ギセイ」の論理と(とくにドイツにおける)徴兵制度および教科書記述との関係の検討―に取り組む。 次年度が最終年度なので、年度末には研究報告書を作成する予定である。また、研究のまとめに向けた準備作業をかねて、可能であれば研究会を開催することついても考えたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症のために移動や図書館・資料館等の施設利用に大きな制約が生じ、調査研究が十分に行えなかった(関連して過去の資料の収集・購入もできなかった)。年度途中で計画を変更し、現行の教科「道徳」の教科書・指導書等を体系的に収集することとしたが、一部指導書等について年度内納入不可のものが含まれていたため、指導書については全体として次年度はじめまで購入時期をずらさざるをえなかったことが大きい。当該資料はすでに発注済みで、繰り越し分はそれですべて解消される予定である。
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Remarks |
本研究専用のページで、研究成果である『「星野君の二塁打」を読み解く』の内容目次やそれに対する反響の紹介のほか、研究会の発表およびディスカッションの概要も掲載。
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Research Products
(1 results)