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2020 Fiscal Year Research-status Report

日本統治下台湾における公学校児童の就学状況に関する研究―学校文書の調査を中心に―

Research Project

Project/Area Number 20K02550
Research InstitutionHeian Jogakuin(St.Agnes')University

Principal Investigator

陳 虹ブン  平安女学院大学, 国際観光学部, 准教授 (60534849)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 白柳 弘幸  玉川大学, 教育学部, 研究員 (20424327)
Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords植民地教育 / 公学校教育 / 学校文書 / 就学状況 / 学籍簿 / 台湾
Outline of Annual Research Achievements

本研究は日本統治下の台湾人児童が通っていた公学校の学校文書を通して、入学後から卒業もしくは中途退学などの「就学状況」を明らかにする調査研究である。当時台湾での公学校は地元の希望によって設置されたものが多かったが、開校後児童の就学状況が安定するまで時間がかかっていた。特に農村部では児童を労働力と見做しているために中退が多く、卒業まで在籍する者は大変少なかった。こうした状況を乗り越え、児童が就学し卒業が定着するに至る社会的・歴史的背景等を明らかにするのが本研究の目的である。特に旧公学校所蔵学校文書を調査することで児童の卒業、中退、落第状況、進路などを具体的に捉えることができる。加えて学校が所在する地域の住民構成、環境や文化、産業等の社会構造が公学校運営にどのようにかかわっていたかについても捉えられ、公学校教育の実態解明が可能になる。また、本研究の対象となる3軒の旧公学校はともに1920年前後に分校として設置され、その後独立した共通点を持つため、3地域の横断的な「就学状況」の比較や分析も行う。
研究期間内において、以下①~④の課題に取り組み、研究成果を公表することを目標とする。①学校設置から学校運営が安定するまでの過程を明らかにする。②児童の就学状況に影響した要素を解明する。③学校文書に記録されている3地域の台湾人児童の姿を明らかにする。④学校の設置から児童の「就学状況」が安定するまでの過程を明らかにする。
上記の研究目的を達成するため、2020年度からは資史料の収集をはじめ、その内容の確認と解読作業を始めた。なお、調査対象学校に関連する一部の研究成果も発表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は現地での資料調査と整理を主な予定としていたが、コロナの影響で渡航することができないため、研究計画の内容を一部調整した。当初研究メンバーでそれぞれ1校の調査研究を担当する計画だったが、台湾側の協力小学校の同意を得て、事前調査で資料の撮影等を行った1校の資料整理及び内容の解読を全メンバーで行うことにした。これにより、資料の整理と共通の分析モデルを構築することができた。
一方、ほか2軒の協力小学校とも密に連絡を取り合い、新型コロナの影響による特例措置で一部の資料を提供していただいた。現在この2校の資料整理とデータの入力を行っている。
なお、当初予定していた研究会および学会への参加はコロナの影響でキャンセルもしくはオンラインという形になったが、研究メンバーによるオンライン研究会を頻繁に開催することにした。研究メンバー全員による活発な議論とアイデアの出し合いにより、初年度に予定している内容はおおむね達成することができた。
ただし、次年度からは資料の分析と地域との関連性についての考察が必要となるので、現地調査を抜きにして叶わない部分がある。現地で資料の現物を確認し、聞き取り等によって判断する必要のある課題も多数残っているので、次年度は感染状況を考慮し、安全確保をしたうえ、現地調査を実現させたいと考えている。

Strategy for Future Research Activity

本年度は研究内容一部を調整し、すでに手元に資料がそろっている1校についての分析を全メンバーで行うことにした。さらに、ほかの2校にも協力をいただき、特例で一部の資料を提供していただいた。現在資料の解読方法及び分析項目などについても共通のモデルができているので、初年度の予定はおおむね達成している。
しかし、最も大きな課題は現地調査ができていないことである。台湾へ渡航できる状況に回復しても、コロナの影響による隔離費用、検査費用など当初想定していなかった出費が発生すると予想される。現在は初年度の出張費を次年度に繰り越し、出張メンバーを減らすなど、経費面での対策をとっている。また、隔離による出張日数の増加及びほかの公務への影響も予想されるので、状況を見極めて慎重に行動したいと考えている。
資料面では、引き続き台湾の協力小学校と密に連絡を取り合い、解決策を探っていきたい。

Causes of Carryover

コロナの影響で台湾への現地調査が実現しなかったこと及び、購入を予定していたスキャナ―の納品が遅れたことにより、次年度使用額が生じた。

  • Research Products

    (6 results)

All 2021 2020

All Journal Article (6 results) (of which Peer Reviewed: 4 results,  Open Access: 2 results)

  • [Journal Article] 台湾教育会編雑誌『文教』:解説と目次集2021

    • Author(s)
      陳虹ブン
    • Journal Title

      植民地教育史研究年報

      Volume: 23 Pages: 157-164

  • [Journal Article] 槻木瑞生氏寄贈「満洲教科書」・「満洲の教科書」について2021

    • Author(s)
      白柳弘幸
    • Journal Title

      玉川大学教育博物館紀要

      Volume: 18 Pages: 9-26

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 日本植民地期台湾における仮名遣い問題-公学校用『国語』教科書の 仮名遣いをめぐって-2021

    • Author(s)
      合津美穂
    • Journal Title

      ことばの研究

      Volume: 13 Pages: 27-44

    • Open Access
  • [Journal Article] 教科書にみる植民地台湾の疫病、衛生、医療と近代化2020

    • Author(s)
      陳虹ブン
    • Journal Title

      日本の植民地教育を問う

      Volume: 0 Pages: 244-266

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 日本統治下における台湾南部の日本人教員に関する研究(その2)-公学校校長六山定英の教育観と学校経営2020

    • Author(s)
      陳虹ブン
    • Journal Title

      平安女学院大学研究年報

      Volume: 第21号I Pages: 15-28

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 公学校国語教科書による台湾人の『日本人化』-教材の『内地化』と 『台湾化』に着目して-2020

    • Author(s)
      合津美穂
    • Journal Title

      日本の植民地教育を問う

      Volume: 0 Pages: 22-43

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2021-12-27  

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