2021 Fiscal Year Research-status Report
エビデンスに基づく教育開発援助の展開:インドNGO「Pratham」を事例として
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20K02559
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
丸山 隆央 広島大学, 人間社会科学研究科(国), 特任准教授 (00862666)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 国際教育開発 / エビデンスに基づく政策立案・実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、インパクト評価の実施及び同評価から得られたエビデンス活用により事業の効果向上と拡大を図ってきたインドNGO「Pratham」を事例とし、エビデンスを有効に活用する援助機関の組織運営・体制や事業の計画策定・運営はどのようなものかを考察するものである。新型コロナの感染拡大の影響により、2021年度は引き続きインドへの海外出張は延期することとし、文献調査及び関係者へのヒアリングにより、以下の要素からなるPrathamのエビデンス活用のモデルを概念化した。
・Prathamは、読み書き・計算の効果的教授法の普及戦略にかかる「サーチ」を継続的に実施し、普及戦略を策定・確立した。インパクト評価により、普及戦略の効果検証が行われ、評価結果をもとに普及戦略の改善・確立が図られた。同プロセスを「データ・エビデンスを用いたサーチ・学習サイクル」と呼ぶ。 ・Prathamは、初等教育学齢期の子どもを対象とし、読み書き・計算にかかるアセスメントを例年実施し、データを公表してきている。Prathamは、同データをもとに読み書き・計算にかかるインド国内の課題を示し、インパクト評価結果をもとに効果的教授法の普及戦略の有効性を示すことで州政府等のパートナーを拡大してきている。同プロセスを「データ・エビデンスを用いたコミュニケーションサイクル」と呼ぶ。
Prathamは、上記のサーチ・学習サイクルと、コミュニケーションサイクルを融合することで、持続的に事業の効果向上と拡大を実現してきたと考えられる。同モデルの特徴の考察のため、独立行政法人国際協力機構(JICA)によるエルサルバドルでのエビデンス活用の事例を取り上げ、Prathamの事例との比較を行ったところ、JICAの事例においても、サーチ・学習サイクルと、コミュニケーションサイクルとの融合が見られることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナの感染拡大及びインドにおける変異株等の影響により、2021年度は現地調査の実施が引き続き困難であったが、文献調査及び関係者へのヒアリングをもとに、Prathamのエビデンス活用を考察し、JICAとの比較を行うことで、研究計画の遅れは徐々に解消されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナのワクチン接種が進み、インド等への渡航が可能となりつつあることから、渡航の時期を慎重に検討しつつ、オンラインを活用した調査を継続する。
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Causes of Carryover |
インドに渡航し、現地調査を実施する予定であったが、2021年度についても新型コロナの感染拡大及びインドにおける変異株等の影響により、現地調査の実施が困難となったため。2022年度については、インド現地調査及び論文の英文校閲費等への本研究費の使用を予定している。
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Research Products
(1 results)