2021 Fiscal Year Research-status Report
The Reseach on the Women's Study Abroad and the Support Network in Modern Japan
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20K02583
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
佐々木 啓子 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 名誉教授 (70406346)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 女子留学 / 奨学金 / 女性リーダー育成 / 海外派遣 / 女性の地位向上 / 女子大学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果としては学術論文1本(国際学術論文)、学会発表3件(国際学会2件、国内学会1件)シンポジウム2件(うち1件は国際シンポジウム)であった。 近代日本の女子留学生を、昨年度は1870年代から1920年代までをリストアップしたが、今年度はさらに1940年代まで延長し、各学校史や人物事典をもとにプロファイルのカード化を行った。また留学生の軌跡を個別に捉えて学会発表を行った。特に女性リーダーとして活躍した留学生の中から、河井道、星野あい、藤田たきの3名の女性学長に焦点をあて、日本女性を対象とする米国女性の奨学金によって3名が学んだ米国のブリンマー・カレッジでの経験、特に同大学の女性学長や女性学部長、地域の支援団体、学生活動への参加が、帰国後にどのように活かされたかを具体的に示した。 また、戦前期の女性の留学が、官費、基督教伝道師会および女子教育機関からの派遣に加え、戦後は東京都などの自治体から地域の女性リーダー育成のための世界各国への海外派遣が加わったことを論じた。このように海外留学・派遣は学術研究のみならず日本の女性の地位向上につながる意味合いをもってきたことは1970年代以降の国際的な女性の地位向上の動きとも連動し、留学の目的も広範になったことを意味する。これらの成果は国際学会(HESイギリス教育史学会)とISCHE(国際教育史学会)で発表した。 今年度の国際学会ではオンラインでの開催であったが、各セッションには対面学会以上の多数の参加者があり活発な意見交換の場となった。また研究者らの資料収集方法として、全世界を対象とした大学アーカイブズの利用が加速し、それらの活用が研究の発展につながっている実態が見いだされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外留学をテーマとし、アメリカでの資料収集を計画していたが、コロナ禍での出国・入国制限のため実現できなかった。また、国内の資料館や大学図書館も学外者・部外者の入構が許可されずオンラインでの問い合わせのみであったため、資料全体を閲覧することができなく限定的であり、研究が計画通りに進展しなかった。今年度は渡航を計画しているが、資料収集後の分析に要する時間も必要であるため、最終年度としての成果に確実に結びつけることが出来るかは不透明な部分もある。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はアメリカへの資料収集を実現させ、また国内機関での資料収集を加速させたい。学会発表は9月にオンラインでの国際学会(ISCHE 国際教育史学会)で発表を予定している。状況が改善しない場合にも、国内および海外のオンライン・アーカイブズで収集した資料をもとに論文の投稿と著書の発表を計画している。
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Causes of Carryover |
海外留学の調査のためのアメリカ渡航がコロナ禍で不可能となり、国際学会発表もオンラインでの発表となったことにより旅費を持ち越した。最終年度ではあるがアメリカへの資料収集と国際学会での発表を実施しての使用計画をたてている。
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Research Products
(4 results)