2020 Fiscal Year Research-status Report
持続可能なコミュニティづくりを支える食育プログラムの国際比較研究
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20K02598
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
大倉 健太郎 武庫川女子大学, 学校教育センター, 教授 (10266257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇本 景子 武庫川女子大学, 食物栄養科学部, 講師 (00806820)
湯藤 定宗 玉川大学, 教育学部, 教授 (20325137)
諏訪 英広 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (80300440)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 食育 / 社会関係資本 / エディブル・スクールヤード / コミュニティ / リスク社会 / 飢餓 / ジェントリフィケーション / 都市農園 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度、第1回目の会合(6月2日)において、研究体制と実施計画について確認を行った。研究体制は、研究協力者(韓国調査)を含む、6名で構成されることを確認した。実施計画については、国内事例と国外事例の収集を行うことを確認した。また、講師を招聘した上で、研究会を実施することも確認した。最終年度において、調査報告書の作成を目標とすることを確認した。 本年度は、国内での訪問調査1件のみだった。訪問先は兵庫県西脇市立日野小学校で、「つなげる」、「つながる」を食育のテーマとした教科と総合学習、学校と地域の連携について、校長にインタビューを行った。ただし、スケジュールの都合上、実際の授業などは見学できなかった。小学校と西脇高校の食育連携について、見学を希望していたが、コロナ対策のため、訪問中止となった。 海外調査は実施できず、代わりにZOOMによる専門家(Prof. Yuki Kato, Georgetown University)へのインタビューをKato氏の論文(「Gardening in Times of Urban Transition」)をもとに実施した。Kato氏はニューオーリンズ市を事例とした都市農園の現状と分析を行っており、当該市の緑化政策に詳しい。氏の見解は、災害復興からみた都市づくりとは異なり、参加者に新たな知見をもたらした。今後、継続的に交流を持つことにした。 国内外ともに、学校や福祉施設への訪問調査の実施が困難なため、地域活動に重点を移し、西宮市の生協(コープ委員)を中心とした食の活動の調査を手掛けることにした。しかしながら、これも生協の担当者との面会のみに終始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
兵庫県西脇市立日野小学校において、訪問調査を実施し、校長にインタビューを行った。日野小学校は、先代校長の平成30年から食育推進校(県内7区域が食育推進を実施)に指定されている。従来は派遣された栄養教諭が食育推進を行っていたが、日野小学校では児童生徒支援教員が中心となって食育を転換した。当該小学校では、「つなげる」、「つながる」を食育のテーマ(通称、Food Education Bond)とし、教科と総合的学習、学校と地域を念頭に検討、実施している。どのようにつながっているか、校長が会議で言葉にして教職員に伝えるという。校長は、「つなげる」を組織化し、地域ボランティアや農業体験を実施している。金胡麻農家や金胡麻の製菓とつながるなかで、西脇高校生活情報科(家庭科授業)と連携を実施。現在、児童と生徒との交歓が行われ、金胡麻は地域との交流媒体となり、文化の伝承にも関係している。食育を通じて、過去(歴史)や地域を学習に結びつけていくことを「ねらい」に含んでいる。「ちいちゃんは食べられなかった(ちいちゃんのかげおくり)」(国語)や「地域を拓く」(社会科)など、食育の体験が活かされているようにみられる。今後は、「つながる」学びを、どのように中学校へとつなげるかが課題とする(小中一貫カリキュラム)。なお、近隣のこども園とは「つながり」が始まっているという。 Georgetown大学のKato氏への聞き取りでは、米国における都市菜園(Urban Cultivation・UC)について、ニューオーリンズ市を事例に、その動向と課題について説明を聞いた後、議論を行った。現在のUCは環境に優しい都市づくりを意図するものの、各地域での歴史や文化を軽視した都市開発はジェントリフィケーションなど様々な問題を生むことがわかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
学校や社会福祉施設を中心とした訪問調査の実施が困難なため、地元企業による地域での食の活動を対象に聞き取りを含めた調査を実施する予定。特に、食と社会関係資本の関係性について検証を行う計画である。その他、コロナ禍における(調理や栄養バランスに関連した)食に関する意識調査を学校で実施したいと考えている。 国外に関しては、状況が改善次第、渡航調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
国内外における現地調査が実施できないことによる。現状が回復次第、現地調査を実施する予定。
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Research Products
(2 results)