2022 Fiscal Year Research-status Report
a comparative study on teacher education for linguistically and culturally diverse children
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20K02607
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
中山 あおい 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00343260)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 多様性 / 教員養成 / 移民 / ヨーロッパ / インクルージョン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、子どもの言語的・文化的多様性を、言語を教える教員だけではなく、全ての教員の課題として教員養成課程や教員研修に組み込んでいるドイツやスイスなどのヨーロッパにおいて、どのような教員養成や研修が実施されているのか、文献調査と海外訪問調査により検証するものである。 前年度に引き続き、令和4年度も(1)資料・文献の収集整理を行い、移民を含めた子どもの多様性に対応した教育の理論的背景を探るとともに、教員養成に関する関連文献・資料の収集を行った。また、(2)前年度はコロナ禍で実施できなかった海外調査を実施した。令和4年6月にスイスのジュネーブ大学を訪問しインタビュー調査を実施した。さらに、同大学で実施されたサマースクール“Global Citizenship Education”に参加し、講義するとともに参与観察を行い、多様性と教育に関するジュネーブ大学の研修内容について理解を深めた。また令和3年9月には、ドイツのビーレフェルト大学において海外調査を実施し、多様な子どもの教育に関して、どのような教員養成や教員研修が行われているのか、教育学部の教授等にインタビュー調査を実施した。これらの海外調査から、どちらの大学においても、多様性や多文化社会における教育が課題になっており、学生や教育関係者の理解を深めるための授業や研修が行われていることがわかった。ただ、今回の海外調査は期間が短かったため、次年度はこれらの大学で実施されている講義やゼミなどにおいて参与観察を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、子どもの言語的・文化的多様性に対応できる教員にどのような能力や資質が求められ、それを育成するためにはどのような養成プログラムや研修が実施されているのか、またその背後にある理論的な枠組みについて検証するため、海外調査を実施する必要があるが、前年度までは新型コロナウ イルス感染症の影響で海外調査が実施できず、若干の研究の遅れがあった。しかしながら令和4年度は、6月にスイスのジュネーブ大学、9月にドイツのビーレフェルト大学を訪問調査することができたため、前年度までの遅れを取り戻すことができ、概ね計画通りに進んでいるということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、(1)令和4年度に訪問調査したスイスやドイツの大学において実施されている子どもの多様性に関連した講義や研修において、一定期間の参与観察を行う予定である。また(2)フィンランドでも海外調査を実施する。これらの調査から、各国における多様な子どもの教育にかかわるカリキュラムや授業内容について、それぞれの特質と課題を明らかにするとともに、比較検討することでその共通点や相違点を分析し、本研究で得られた成果を学会等で発表する。
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Causes of Carryover |
令和4年度は、前年度まで新型コロナウイルス感染症の拡大で実施できなかった海外調査が可能となり、スイスのジュネーブ大学、ドイツのビーレフェルト大学で訪問調査を実施したが、調査期間が短期間だったため、次年度には教員養成において子どもの多様性に関する教育に関連した授業内容について一定の期間、参与観察を行う必要がある。さらに、令和4年には実施できなかったフィンランドのオーボ・アカデミー大学での調査を行う必要もあり、海外旅費を次年度に繰り越した。また、次年度も引き続き文献調査を行うための物品費や収集したデータの翻訳および情報提供者への謝金等に加え、研究成果について学会で発表するための国内旅費を使用する予定である。
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