2020 Fiscal Year Research-status Report
幼稚園・保育所等に在籍する外国籍乳幼児の保護者の支援、園と保護者相互理解の方策
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20K02696
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Research Institution | Toyooka College |
Principal Investigator |
田中 敏明 豊岡短期大学, その他部局等, 教授(移行) (50036935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川俣 美砂子 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 准教授 (20462096)
矢野 洋子 九州女子短期大学, 子ども健康学科, 教授 (60596592)
古野 愛子 日本文理大学, 経営経済学科子ども福祉・マネジメントコース, 准教授 (70795898)
杉村 智子 帝塚山大学, 教育学部, 教授 (90274399)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 外国籍就園幼児の保護者 / 保護者の困り感・不安・不満 / 保育施設への要望 / 保育施設の困り感 |
Outline of Annual Research Achievements |
福岡市、北九州市、熊本市、高知県の15保育施設を対象に、外国籍の乳幼児の在籍状況、保護者の使用言語と、日本入国後の期間が短く、新規に日本の保育施設に就園させた外国籍の保護者がどのような不安や不満、要望を持つか、保育施設として困ること、対策について聞き取り調査を行った。保護者の国籍は、中国、韓国、フィリピン、アメリカ、ベトナム、ネパール、バングラデシュである。 保護者の困り感や不安は、就園前では、入園できるのか 保育料はどれぐらいかかるのか 申し込みの手続き 保育時間 、園の特徴と選び方などがある、就園後では、保育施設とのコミュニケーションが取れないが最も多く、子どもが保育施設に適応できるか、いじめを受けないか、友達ができるか、食事が口に合うか、子どもが母国語を喋れなくなり帰国後に困るのではないかなど多岐にわたっている。不満を感じることとしては、給食・お弁当の内容が最も多く、保育時間が短い又は合わない、保育の方法が母国と違う、要求が伝わらないあるいは受け入れてもらえない、行事などに親の参加を求められる、保育施設のルール、制服があるなど、文化や価値観、保育制度の違いに基づくものが多い。園への要望としては、不満と対応して、給食・お弁当の内容、方法に関するものが最も多く、英語を使ってほしい、保育時間の延長、より教育的な保育内容、制服の廃止など多様である。保育施設の困り感は数多く記載されているが、大別すると、「保護者とコミュニケーションが取れない」、文化、価値観の違いから、食事、服装、園の活動、ルールなどでトラブルが起きる、園の方針を理解してもらうのが難しいの3つに集約されるが、園児が日本語を話せないが、発達の遅れか、まだ言葉を理解できないだけなのかわからない、外国籍児童が在籍している他保育所との交流等はなく、どのようなことを実践しているか情報がないなどがある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、外国籍保護者を対象に保護者を対象に、幼稚園、保育所、認定こども園等の保育施設(以下保育位施設という)への就園や、在園中の不満、不安、要望等を明らかにし、外国籍幼児のとその保護者が安心、満足感を持って保育施設に通園できる環境づくりを行うことを目的としている。 初年度にあたる令和2年度は、最近1年以内に新たに入国した外国籍保護者を対象に、母国語に翻訳した調査用紙を用いて、日本の保育施設への就園や在園に関して、母国との違い、分からないこと、困ること、不満なこと、満足すること、変えてほしいことなどについて聞き取り、保育施設と協議の上、保育施設として丁寧に説明すべきこと、了解を得るべきこと、変える必要があることを明らかにする予定であった。 しかしながら、昨年1月ごろに始まる新型コロナウイルスの影響を受け、外国人、とくに幼児を持ち、日本の保育施設に就園させようとする外国籍保護者の入国がほとんどなく、コロナウイルス感染症の終息を待ったが、収束することはなく、このため、当初予定していた研究の予定通りの遂行が困難な状況となった。 こうした状況を受けて、当初予定していた研究のうち、外国籍保護者の意識調査、韓国における外国籍幼児の保護者支援の実態調査はいったん先送りし、2020年度は、保育施設を対象に、外国籍の乳幼児の在籍状況、保護者の使用言語の確認、日本入国後の期間が短く、新規に日本の保育施設に就園させた外国籍の保護者がどのような不安や不満、満足感、要望を持つかについて、保育施設職員への聞き取り調査記録をもとに明らかにする研究にとどめざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度に遂行できなかった研究も含めて、今後以下のように研究を推進していきたい。 まずは、幼稚園、保育所等に在籍する外国籍の乳幼児の保護者が持つ、園に対する満足感・不満感とその内容および理由、疑問、要望などを明らかにする。現在在籍している園児の母語である中国語、韓国語、タイ語、アラビア語、ベトナム語、英語でのコミュニケーションが可能で日本語でのコミュニケーションができない保護者を対象に、母語による調査用紙を作成し、調査結果をM-GTAを用いたカテゴリー化し、日本語でもコミュニケーションができる保護者と比較する。尚、新型コロナウイルスが今年度も収束せず、新規の外国籍保護者の入国が見込まれない場合は、すでに日本に入国し、保育施設に就園させている外国籍保護者を対象にして、同様の調査を行う。 2022年度は、韓国で配布されている「外国籍保護者向け支援の手引き」を翻訳する。外国籍の乳幼児の保護者が持つ、園に対する満足感・不満感とその内容および理由、疑問、要望の調査結果と、韓国の「外国籍保護者向け支援の手引き」に基いて、外国籍の保護者の意識や母国の文化習慣、幼児教育の特性を踏まえ、外国籍保護者向けの「入園と園生活の手引き」を保護者の母国語に翻訳、配布する。配布した効果を、理解の高まり、満足感や行動の変容の聞き取り調査を通して明らかにする。なお、新型コロナウイルスが今年度も収束せず、新規の外国籍保護者の入国が見込まれない場合は、すでに日本に入国し、保育施設に就園させている外国籍保護者を対象にして、同様の調査を行う。並行して、保育施設職員の資質向上を図るため、外国籍保護者支援・対応園の在り方の保育施設職員向けマニュアル「外国籍保護者支援と対応の手引き」を作成し、聞き取り調査により、保育施設職員の意識の変容を明らかにする。
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Causes of Carryover |
初年度にあたる令和2年度は、最近1年以内に新たに入国した外国籍保護者を対象に、母国語に翻訳した調査用紙を用いて、日本の保育施設への就園や在園に関して、母国との違い、分からないこと、困ること、不満なこと、満足すること、変えてほしいことなどについて聞き取韓国の外国籍保護者支援の状況外国籍保護者支援の状況調査、中国、韓国、アメリカ合衆国、フィリピン、ベトナム、ネパール、バングラデシュの子育てや就学全教育の資料を収集する予定であった。しかしながら、新型コロナウイルスの影響を受け、外国人、とくに幼児を持ち、日本の保育施設に就園させようとする外国籍保護者の入国がほとんどなく、当初予定していた研究の遂行が困難な状況となった。このため、支出を予定していた7か国語の翻訳謝金、韓国への渡航旅費、7か国語の証左要旨印刷費が使用できず、次年度に持ち越しとなった。 2021年度は、持ち越し額と2021年度の配分額を合わせて、2020年度に予定していた外国籍保護者に対する調査を実施するとともに、外国籍の保護者の意識や母国の文化習慣、幼児教育の特性を踏まえた外国籍保護者向けの「入園と園生活の手引き」を保護者の母国語に翻訳、配布する。配布した効果を、理解の高まり、満足感や行動の変容の聞き取り調査を通して明らかにし、その効果を検証する。
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