2022 Fiscal Year Research-status Report
幼稚園・保育所等に在籍する外国籍乳幼児の保護者の支援、園と保護者相互理解の方策
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20K02696
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Research Institution | Toyooka College |
Principal Investigator |
田中 敏明 豊岡短期大学, その他部局等, 教授 (50036935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川俣 美砂子 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (20462096)
矢野 洋子 九州女子短期大学, 子ども健康学科, 教授 (60596592)
古野 愛子 日本文理大学, 経営経済学部, 准教授 (70795898)
杉村 智子 帝塚山大学, 教育学部, 教授 (90274399)
今津 尚子 九州女子大学, 人間科学部, 准教授 (80817073)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 外国籍幼児の保護者 / 日本の保育施設への期待と不安 / 満足感と困り感、不満感 / 支援が必要なこと / 入園のしおり |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度実施予定でコロナ禍のために実施できなかった、「①新規に入国し、日本の保育所、認定こども園等に入園した幼児の保護者を対象にした日本の保育園等に対する意識調査」、「②この調査結果をもとにした外国籍の保護者向け『入園のしおり』の作成とその効果の検証」、「③最近日本での就労者が急増したミャンマーの保護者の子育て感や日本の保育施設への期待や不安の調査」研究を実施する予定であった。このうち、新規に入国した保護者の日本の園に対する意識調査は、本年度中は依然として新規入国者が少なく、十分な数の調査対象者を確保できなかったものの、日本の園に入園することの期待感が高いこと、入所したことで安心感を持つこと、日本の保育者の態度や保育の様子を見て信頼感を持つことなど保育施設に対する肯定的な意見が多く見られた。困り感としては、園や保育者とのコミュニケーションの困難さが圧倒的に多いが、適切なコミュニケーション施策を講じている園とそうでない園との間にかなりの差が見られた。また、入園手続きの煩雑さ、行事、とくに宗教性が絡む行事の内容、しつけや知的教育の不十分さなどを指摘する意見が多く見られた。不満の内容や頻度は国籍や就労先によってかなりの違いが見られた。 ミャンマーでの聞き取り調査では、日本の園に入園させることへの期待感が非常に高く、とくに、充実した知的教育が受けられる、タブレットなど多様な教材を活用した保育が受けられるなど日本の現実とは異なる面への期待が高く、言葉や習慣の違いから子どもが園に適応できるかどうか、日本の子どもについていけないのでは、いじめにあうのではなどの心配が出された。保護者向け入園のしおりの作成は、得られたサンプル数が少ないため本格的な作成に至っていない。調査対象者が十分確保できず、入園のしおりの作成もほとんど未着手なことから、研究期間の延長を要請し、承認が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、新規に日本に入国した外国籍の幼児を持つ保護者支援を目的として、保育所等の日本の保育施設に幼児を入所させるにあたっての期待や不安、実際に幼児を入所させた際の満足感や不満・違和感、保育施設への要望に関する保護者に対する調査、外国籍保護者に対する取り組みが進んでいる諸外国の実態調査を行い、これらの結果に基づく新規入国外国籍籍保護者のための「日本の保育施設入園の手引き」の作成を目的としている。 研究を開始した2020年にコロナ禍が生起し、外国籍幼児の保護者の入国が就労、就学者共に大幅に減少した。そのため、外国籍幼児の保護者に対する調査は予定数の3割程度にとどまっている。諸外国での調査や資料の収集も海外渡航がほぼ不可能であり、2023年になってミャンマーにおける日本での就労を予定している幼児の保護者に対する聞き取り調査を実施したにとどまった。これら基礎資料の収集が困難であったため、基礎資料に基づく「日本の保育施設入園の手引き」の作成と、その手引きを配布する効果の検証も、「日本の保育施設入園の手引き」は手引きの概要を作成する段階でとどまっている。そのため、研究期間を1年間延長した。2023年4月以降、新規入国者数が急速に回復しており、予定した研究を推進することが可能な状態になってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、新型コロナが収束に向かい、新規に来日、就園した外国籍幼児の保護者を対象にした調査が可能になったことから、今年度はまず、保育所等の日本の保育施設に幼児を入所させるにあたっての期待や不安、実際に幼児を入所させた際の満足感や不満・違和感、保育施設への要望に関する保護者に対する調査を、保育所や認定こども園の協力を得て実施し、予定数を確保する。また、外国籍幼児の保護者支援の取り組みが進んでいる韓国を訪問し、支援状況の視察と関係資料を収集する。さらに、ドイツ、フランス、スウェーデン等の関係資料を収集する。収集した調査の結果を分析し、幼児を持つ外国籍保護者が幼児を入園させるにあたっての戸惑いや不明な事項、日本の保育施設の保育内容や保育方法の特徴、保護者が遵守すべき事項、保育施設での保育者とのコミュニケーションの方法、不明な点や不満等がある時の対応方法などについて記述された「日本の保育施設入園の手引き」を保育施設と共同で作成し、作成した手引きを保護者の国籍に応じて母国語に翻訳し、対象の保護者に配布する。配布した保護者に意見を求め、改善を図る。 これらの結果を集約し、研究論文を作成する。
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Causes of Carryover |
2020年度から日本学術振興会補助金による本研究をスタートした。初年度から外国籍幼児の保護者に対する調査費と、外国籍幼児の保護者支援が進んでいる韓国等での渡航調査費を計上していたが、コロナ禍のため新規の入国者がほとんどなく、また、海外渡航も不可能であったため、初年度に予定していた調査研究費のほとんどを2021年度に繰り越した。 2021年度も同様な状況であり、2020年度と2021年度の使用予定額の多くを2022年度に繰り越した。 2022年度前半も同じような状況であったが、後半は規制緩和もあって新規入国者が増加し、一部の調査及び海外渡航が可能となり、計画した経費の1部を使用したが、調査予定数の2割程度にとどまり、海外調査も予定した韓国での調査は実施できなかった。調査結果に基づいて作成を予定していた「外国籍保護者のための入園の手引き」も、調査や資料の収集が不十分なため作成できなかった。そのため、研究期間を1年延長することとした。 2023年度に入り、新規入国者数も増加し、研究の遂行が可能になったため、保護者を対象とした調査の継続、海外調査の実施、手引きの作成を行う。
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Research Products
(1 results)