2023 Fiscal Year Research-status Report
The analysis of network in the brain for establishment to artistic expression as a developmental-support-program
Project/Area Number |
20K02706
|
Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
保坂 遊 東京家政大学, 子ども支援学部, 教授 (90423996)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮島 祐 東京家政大学, 子ども支援学部, 教授 (10246308)
杉本 英晴 駿河台大学, 心理学部, 准教授 (20548242)
澤田 めぐみ 東京家政大学, 家政学部, 教授 (30291339)
音山 若穂 群馬大学, 大学院教育学研究科, 教授 (40331300)
冨田 知里 東京家政大学, 家政学部, 期限付助教 (60827385)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 脳内ネットワーク / 美術表現活動 / 発達支援プログラム / fNIRS |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、前年度に実施した一般成人7名,美術経験者16名を対象としたfNIRS計測データの分析を進めた。視覚刺激による課題a「文章を読む」、b「風景写真を見る」、c「抽象絵画を見る」の提示では、各課題において前頭前野の酸化ヘモグロビン濃度(ox-hb)の賦活が見られたが、各課題間における有意差は認められなかった。 描画課題d「単語から起想して描く」(意味刺激からの表現)、e「観察して描く」(視覚刺激からの表現)、f「アナログ画で描く」(言葉からの抽象表現)では、各課題において視覚刺激よりも描画活動を行うことで、前頭前野の脳血流量をより高めることが認められた。更には一般成人と比較して美術経験者がより描画中の脳血流量を高める傾向があることを確認するとともに、「アナログ画」課題において賦活が高まる傾向が認められた。 上記を踏まえて、更に健常児と発達障がい児の描画中の前頭前野における脳血流量の経時的変化の計測を行なった。実施期間は2023年8月から10月とし、健常児10名/発達障がい児8名の計18名の小学生に保護者の同意のもと実験協力を得た。課題は、描画課題a「単語から起想して描く」(意味刺激からの表現)、b「観察して描く」(視覚刺激からの表現)、c「点を線で結び色を塗る」(造形的抽象表現)の3課題として、描画制作を行う過程の血中ヘモグロビン濃度の変化を計測した。本実験のデータ分析は現在遂行中であるが、各描画課題においての前頭前野の賦活が認められ、各被験者により課題に対する集中度が前頭前野の脳血流がより高かめる傾向が認められ、描画表現活動の手法の工夫が脳活動に与える影響を示唆するものと考えられる。 次年度においては、これらの分析を更に進め、子どもがより集中して美術制作活動を行うことができるプログラムの傾向について示唆を得て、発達支援として適したアートプログラムの開発と実践による検証を進める予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度(1年目)の研究より,新型コロナウィルス感染症の蔓延により当初計画より開始が大幅に遅れ,2021年2月から3月にかけての計測実施となった。2021年度(2年目)の前半は,それらの実験結果の分析に時間を要し,年度末に次段階の実験を計画していたものの、2022年1月から3月にかけて、再びコロナ感染者が増加し,蔓延防止措置要請となったため、感染リスク防止の判断より実験の延期を余儀なくされた。2022年度(3年目)に前年度分の実験を実施したが、2023年度に研究期間を延長することとした。本年度に計画していた実験を全て終えることができたが、データ分析については遅れが生じており、2024年度に再度延長し、本研究の総括を行う計画である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,健常児10名および発達障がい児8名を被験者として、描画制作中の脳活動を計測した。本年度はこれらから得たデータを解析し、発達支援としての様々な子どもの発達や特性を伸長する美術活動および芸術療法の新たなプログラムを開発する。本研究の結果については、年度末までに報告書を作成し、論文、研究発表等にて研究成果を示す予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度に計画していた実験研究については遂行することができたが、これらの分析と開発・実践研究については遅れが生じ、次年度へ研究期間の延長を申請することとした。このため、次年度に開発・実践研究費と報告書作成費を使用する計画である。
|