2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on School Crisis Management and Resilience on the Basis of High Reliability Organization Theory
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20K02739
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
福本 昌之 広島市立大学, 国際学部, 教授 (60208981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯藤 定宗 玉川大学, 教育学部, 教授 (20325137)
難波 知子 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (30441489)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学校危機管理 / 学校組織 / レジリエンス / 高信頼性組織 / COVID-19 |
Outline of Annual Research Achievements |
学校の安全・安心の確保に関わる危機管理は重要なテーマでありながら,体系的な研究,とりわけ理論面での体系化は不十分であるように見受けられる。その背景の一つは,いわゆる事故対応型の危機管理観が一般的になっていることに起因すると考えられる。 このような危機管理観は一言で言えば,「原因→結果」を直線的に捉え,そのプロセスの連鎖を断ちきれば安全が確保できると捉える安全観,すなわち,Safety-I(ホルナゲル, 2012=2006, 2018)に依拠している。Safety-Iは因果関係を明白に定めることができる場合には有効かつ重要である。しかし,安易な適用はシステムの複雑さを軽視し,単純すぎた危機管理モデルを生む。 学校は多様な構成要素からなる複雑な社会技術システムによって成立している組織であり,本務である教育活動自体をはじめ,多くの点で本来的にリスクを抱えており,「事故の不在」を完全に保障することは難しい。そこで,本研究で注目するのはワイクとサトクリフ(2017)等が唱える高信頼性組織(化)論である。この研究の関心は,不測の事態が生じるリスクを低減させることに加えて,不測の事態が生じた場合の影響を最小限にとどめること,そして,できるだけ素早く平常時のパフォーマンスを回復することが可能な組織のあり方にある。 学校の組織活動には,組織内外に起因する不測の事態の可能性が常に存在し,万一の場合に影響を最小限にとどめ,日常的な活動を継続し,安定的なパフォーマンスを継続することが期待される。また,仮に活動の中止が生じた場合でも,可能な限り速やかに復帰することが求められる。 今年度は,レジリエンスを高信頼性組織論のキー概念として捉え,学校危機管理研究に対する意義を検討することを目的とし,その理論の構成を探求するとともに,コロナ禍での学校経営実践における危機管理をレジリエンスの視点から分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の感染防止対策に伴う諸制限下での学校経営実践に関するインタビュー調査を行い,組織レジリエンスという概念が一定の有効性を持つことが明らかになった。とくにレジリエンスを組織能力として捉えると,校長と教職員の相互作用において開発されるという視点を持つことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
学校の危機管理の実際的なプロセスに関する質的調査を継続するとともに,危機管理体制構築の状況について,量的な調査を計画中である。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染対策に伴い,当初予定していた国内出張および国外出張を実施できなかったため。
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