2023 Fiscal Year Research-status Report
Research on School Crisis Management and Resilience on the Basis of High Reliability Organization Theory
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20K02739
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
福本 昌之 広島市立大学, 国際学部, 教授 (60208981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯藤 定宗 玉川大学, 教育学部, 教授 (20325137)
難波 知子 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (30441489)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高信頼性組織 / Safety-Ⅱ / レジリエンス / 官僚制 / 権能を与える統制 / 安全な学校 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のリサーチクエスチョン「不測の事態に効果的に対処しうる、レジリエンスの高い“高信頼性組織としての学校”の組織的要件は何か?」に関する事例研究を実施し,先行研究の理論的知見と合致する実践事例を確認した。結論を先取りすると,事故対応型の危機管理を主眼とする「学校安全」から,「安全な学校づくり」というホーリスティックな学校経営観への転換が,学校の高信頼性組織化を推進すると考えられる。 本研究では,様々な変動が生じている中で首尾よく成果が出せている状態を「安全」と捉えるSafety-Ⅱの安全観(ホルナゲル, 2015)に依拠し,高信頼性組織化およびレジリエンスの理論モデルを検討してきた。不測の事態が生じる環境下で学校が効果的に機能する組織プロセスに注目し,危機回避にとどまらず,学校が本質的に安全な場となるような組織化を学校経営の要諦として捉える認識転換が必要であるとの見通しを持つに至った。 その具体例の1つは,FEMAの基準に準拠し,関係当局が全体として「一つの組織行動原則」に基づいて行動する米国の学校安全(School Safety)の分析である。連邦レベルでの危機管理原則(すなわち,予防-低減,準備,対応,回復)に基づいて,各組織体での指針と基準を規定しつつ,現場の自律性を重視する体制が作られていた。また1つは,東日本大震災時に被害を最小限に抑えた学校においては,日常教育活動を通じた行動原則の徹底が非常事態下での冷静な対応につながった。非常時に備えた訓練のための訓練よりも,学校の本務である人間形成を最重要視し,それに立脚した学校経営方針が関係者間で共有され,当該校における安全な学校づくりが具体的に構想されていた。 事例研究から得られた示唆は,高信頼性組織化は,組織と組織メンバーが恒常的に自己更新を続ける学習する組織の態様として捉えられるいう仮説に立ち,その妥当性を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学校安全の取組に関連して,防災に関連した事前訓練の実地調査及びインタビュー調査を実施した。また,東日本大震災に関わって学校がどのような取組を行ったかについても,当時の管理職へのインタビュー調査を実施した。これらのデータと文献研究において示された理論枠組みとの整合性について検討を行った。ただし,総合的な分析考察は十分に行えなかったため,次年度に延長して検討を進めることとした。
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Strategy for Future Research Activity |
危機管理の枠組みとして設定されている,予測-軽減-対応-回復の視点から,組織がどのように学習を積んだかを把握する。とくに,COVID-19に対して各学校等で採られた対応策およびその評価を安全な学校づくりの視点から検討することで,危機から得られた教訓がどのように認識されているかを分析対象に設定する。
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Causes of Carryover |
COVID-19対策の影響によって予定していた調査研究が行えず,旅費充当分が執行できなかったため。
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