2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study into the Evaluation of Deep Learning—Developing Teacher Training That Utilizes Moderation
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20K02749
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
香田 健治 関西福祉科学大学, 教育学部, 講師 (80783159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東尾 晃世 関西福祉科学大学, 教育学部, 講師 (10804908)
竹原 章雄 関西女子短期大学, その他部局等, 教授 (50849867)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 総合的学習 / 評価の観点 / 評価規準 / 評価研修 |
Outline of Annual Research Achievements |
該当年度においては、総合的学習に関する全国の附属小学校及び公立小学校に学習評価及び評価研修等の実施状況についてアンケート調査を実施し、分析をもとに課題を整理することを行った。 調査対象は、全国附属小学校82校ならびに、448校の公立小学校に対し、アンケート調査を実施した。調査方法は、直接郵送方式で調査表を発送し、135の回答を得ることができた。質問項目としては、総合的学習における目標、指導計画(全体計画、単元計画)の設定、探究課題とその解決を通して育成を目指す具体的な資質・能力、評価の観点及び評価規準、評価方法の設定などと自由記述である。 調査の結果、総合的学習の目標については、学校の教育目標を踏まえて育成を目指す資質・能力を設定しているものの、各探究課題に即した単元レベルの資質・能力の具体化はされていないということが明らかとなった。 一方、評価の観点は、2019年の文部科学省『小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)』に示された「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」での設定については、課題がみられる。そして単元の評価規準の設定についても設定していないなどの課題がある。一方、殆どの学校が何らかの方法での評価を実施していることが明らかとなった。他方、学習評価に関する校内研修の有無については、積極的に実践研究に取り組んでいる学校がある一方で、評価について課題のある学校も見られることが分かった。 以上の結果から、評価の観点、評価規準の未設定の学校については、主観的あるいは恣意的な評価となっている可能性がある。また、評価研修については学校によって、その取り組みに差があることが分かった。 このようなことからモデレーション(moderation)法によるルーブリックの開発の研修の意義があるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3(2021)年度に研究協力者の勤務校において、総合的学習のポートフォリオや成果物などを評価資料として、モデレーション法を用いた評価研修を実施するために、該当年度において、総合的学習の先行校などを調査対象として現地調査の実施と、全国の小学校に学習評価と評価研修に関するアンケート調査を計画している。 しかしながら、令和2年度以降の新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の発出によって、4、5月に学校の休講措置が取られたことや、拡大防止のため、研究の先行校の研究発表の公開が中止となったり、移動をともなう現地調査や研究活動を控えたりしていることから先行校等の現地調査はできておらず、やや遅れている状況にあると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、総合的学習の先行校などの現地調査の実施を行ったあと、アンケート調査とともに学習評価および評価研修に関する課題を整理する。そして、研究協力者等において、総合的学習のポートフォリオや成果物などを評価資料として、モデレーション法を用いた評価研修を実施する。モデレーション法では、ルーブリックの作成と各段階に適合した評価事例集を作成するとともに、教師個々人の評価の質を分析するために、モデレーション法での対話をICレコーダー等で収集し、質的データ分析のSCAT分析法(Step for Coding And Theorization)を活用し分析する予定である。 また、「モデレーション法に関する効果等の調査」のために、研修後にアンケート調査を実施する。質問項目の案として、(a)評価力量の向上に繋がったか。(b)授業改善に役立つか。(c)授業力向上に役立つか。(d)評価研修の感想(内容、手順など)を試案している。 これらの研究の結果については、その成果をまとめて学会発表及び論文投稿などで学術的貢献をしたい。
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Causes of Carryover |
該当年度は、令和2年度以降の新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の発出によって、学校の休講措置が取られたことや、拡大防止のため、研究の先行校の研究発表の公開が中止となったり、移動をともなう現地調査や研究活動を控えたりしていることから、次年度使用額が生じた。この状況が落ち着けば、現地調査や研究活動なども行い、総合的学習におけるモデレーション法の試行、評価研修を行うこととして、対話分析のための情報機器を購入するように計画している。
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