2020 Fiscal Year Research-status Report
学習アセスメントを軸とし学習改善を促進する組織的授業研究に関する実証的研究
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20K02891
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
山本 佐江 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 准教授 (10783144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有本 昌弘 東北大学, 教育学研究科, 教授 (80193093)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 形成的評価 / ブルームのタキソノミー / 情意領域 / 自己抑制 / 自己評価活動 / 総合学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
カリキュラムマネジメントを有効にする学習ツールについて、過去の優れた実践事例から学び、現代に通じる普遍的なツールとすべく、出版本や研究紀要等資料にあたり、その実践の様子をまとめた。また、過去から現在まで一貫した評価の実践を行っている学校を訪問し、聞き取りを行った。 秋田市立築山小学校の1970年代、1980年代の実践については、協力教授組織を基盤に日常的な授業改善を行うとともに、公開研究会を毎年行うことで、優れた実践知を近隣から全市全県に広めていった経緯がある。1971年、スウェーデンのグレナで行われた教育到達度評価国際協会(IEA)主催のセミナーに参加し、ブルームより直接教授を受けた日俣周二を講師として、日本で最も早く形成的評価の研究に着手していた。その授業研究は、ブルームのタキソノミーを参照して作成された目標分析表、形成的評価、そして子どもの特性の分析を一つながりとして、展開した。 さらに、学習の過程においてブルームの重視した情意の研究も取り組まれた。探究や協力する態度の他、自己効力感も考慮したものであった。当時の研究主任佐藤俊彦は、情意を「関心をもつ(受け入れ・反応)」から「態度化する(価値付け・組織化・個性化)」へと階層化し、学習者自ら対象物の価値を評価し志向していくという「自己抑制(セルフ・コントロール)」による実行を求めた。そのため対象物を価値判断する自己評価能力が重視され「教師は、自己評価活動を通して、自らの学ぶ姿勢を意識して、学び方に生かして行くことのできる学習者を育てる」ことを実践の目的とした。 伊那市立伊那小学校は、地域の住民、総合学習を受けてきた保護者に支えられ、時間割も通知表もない、チャイムが鳴らない特色ある教育を60年前から継続している。子どもの声を大切にしたカリキュラムが実施され、そのことが誇りとして地域に受け入れられていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症予防のため、移動制限や図書館等施設の閉鎖、学校訪問制限などにより、今年度末までに予定していた、インタビュー調査、資料調査旅行や研究会参加ができなくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
調査フィールドを移動可能な地域にも広げ、インタビュー調査を行う予定である。 インタビューデータを、野中郁二郎らのSECIモデルによる知識創造プロセスを理論的背景として、組織の知的発展をマネジメントしていく鍵となる要素を、評価の観点から詳細に検討していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の移動制限状況のため、予定していた実地調査および国際学会参加・発表がほとんどできなかったため。 移動可能になれば、対象校にて文献調査を主とした調査、及びインタビュー調査を継続する予定である。また、英文論文作成のための英文チェック等も依頼する。
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