2020 Fiscal Year Research-status Report
民事法に関わる18歳成人に求められる資質・能力を明確化した教育研究
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20K02902
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
加納 隆徳 秋田大学, 教育文化学部, 講師 (90767245)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 法教育 / 18歳成人 / 民事法 / シティズンシップ / 資質・能力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、基礎研究に資する部分の研究を進めることができた。以下に、具体的な基礎研究の部分について述べる。 (1)中学校社会科教科書の調査を行い、法教育に関わる部分を抽出し、私法の原則に関わる記述について収集・分析をおこなった。(2)研究に助言いただいている、東京大学や筑波大学の教員や附属学校教員らを秋田へ集め、意見交換を行うことができた。(3)次年度に行う予定の教材(映像教材)作成のための準備として、ビデオ教材作成の準備をおこなった。結果として、私法に関わる記述については、「対立と合意」や「効率と公正」に関わる部分については、公共的な部分が多く、私的領域にかかわる家庭科などの他教科の研究も同時に進めなければならないことが明らかになってきた。今後の研究として家庭科教育学の知見を参考にすることを考えたい。研究助言を受けている研究者とのうちあわせをうけて、高校生から学べる教材の必要性が指摘され、それらの研究成果を次年度に向けてまとめている最中である。ビデオ教材作成については、機材購入にも目処が立ち、順次、どのような教材が作成可能であるかを検討できた。 これらの活動により、明らかになったことは、社会系教科書における私法的部分が未だに不足している点が明らかになってきている。一方で、社会科のみで行うのでは無く、教科連携的な学びが必要不可欠なものになってきていることが考えられる。研究としては、社会科(公民科)だけでなく学校教育全体で利用可能な学習計画や教材などが必要であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度はコロナウィルス感染への対応のため、研究計画を大幅に変更することを余儀なくされた。特に学校現場との連携については、学校の休校が生じた結果、カリキュラムの大幅な変更などが生じ、それに伴って実験的なものを行う事が極めて困難であった。 そのため、研究計画を一部変更し、本年度は基礎研究の時間を多く割いた。基礎研究としては、中学社会科教科書:公民的分野の記述を調査した上で、18歳成人に関わる記述のピックアップ及び、学習課題などの調査を行った。これらは2021年度から始まる新学習指導要領に対応した学習方法の改善に効果を発揮することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は研究方針として、昨年度行う予定であった研究部分で特に学校現場との連携をすすめ、生徒へのアンケート調査及び教員及び弁護士への聞き取り調査を行う予定である。また、教材づくりについては、弁護士会などの協力を得ることが確約でき、地元弁護士会である秋田県弁護士会の協力の下、私法に関わる学習についての勉強会を行う予定である。 また、基礎調査結果から明らかになった中学社会(公民的分野)の記述面の不足部分については、学校現場の教員らへの聞き取りも同時に行う事により、教材の作成及び仮の指導案による授業実施までを行うことを目指す。
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Causes of Carryover |
本年度、コロナウィルス感染対策の為、学会が開催されなかったことや、出張等も事実上不可能であったため、出張費の使用がほとんど不可であったため。
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