2021 Fiscal Year Research-status Report
大学教育環境で育まれるキャリア形成マインドが企業参入・適応過程にもたらす機能解明
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20K02956
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
小田部 貴子 九州産業大学, 基礎教育センター, 講師 (80567389)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | キャリア形成 / キャリア自律 / 大学生 / マインドセット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,(1)職業人としての自律的キャリアに寄与する大学生としてのキャリア形成のプロセスと,そこで育まれる実社会で機能するレベルのマインドセット(MS)について,定量的・定性的に解明すること,また,(2)育まれるMSのレベルが後の職業人としてのキャリア形成に及ぼす影響について,縦断的な解明を行うことである。 初年度の研究遂行では,社会人への調査及び定性的分析,及び大学生への予備的調査を通して,学生時代の「多様な知を関連付ける」「多様性・異質性に触れる」学びの姿勢が,大学における積極的なキャリア形成(経験の蓄積)に寄与しうることを明らかにした。 しかし,縦断調査の前段階として大学生への予備調査を複数回行う中で,そもそも大学生が「キャリア形成」という概念に対して抱くイメージが,個人によってかなり大きくことなることが分かってきた。そこで,大学生が「キャリアを形成する」ことをどのように捉えているかについて,自由記述,及び面接調査を実施した。さらに現在,その詳細を明らかにするために,インタビュー調査を実施している。 次年度以降においては,社会人を対象とした「キャリア形成」に対するイメージの調査も実施し,その典型的な変化過程やそれぞれの発達段階における特徴を解明するとともに,大学生及び社会人に援用できるキャリア形成MSの標準的尺度を開発する。そのうえで,キャリア自律を導く大学時代の学びやキャリアを明らかにするための,本調査を実施していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予備調査段階において,調査内容に関わる重要な課題が見いだされた。具体的には,大学生が有している「キャリア形成」に関する素朴概念の広がりを明らかにする必要があること,それを踏まえた適切かつ標準化された尺度構成が必要であること,である。したがって,これらを解明した後,当初予定していた量的調査を実施する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
「キャリア形成」に対するマインドセット(MS)を測定する尺度を新たに開発し,学生から社会人に至る中での,その典型的な変化過程やそれぞれの発達段階における特徴を解明する。また,自律的なキャリア形成を促すMSに関わる重要な要因として,セルフ・オーサーシップ(SA)という観点に着目し,SAとMSとの関連を明らかにする。SAに関して,現在,日本版の尺度として佐藤・坂本(2020)があるが,より一般的な「自己一致」「対人的自立性」を測定するものとなっており,「キャリア形成」へのSAを測定できるものではないため,Creamerら(2010)を基礎とした日本語版を作成し,本調査を実施する。
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Causes of Carryover |
予定していた学会発表,及び研究会がウェブ開催となり,計上していた旅費を使用しなかった。 当初より本調査の業者委託を予定していたが,研究計画の変更に伴い,予備調査が続いているため,次年度に持ち越すこととした。 令和4年度では,学会発表及び研究会参加のための旅費,業者への業務委託費として執行する予定である。
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Research Products
(1 results)