2020 Fiscal Year Research-status Report
高等教育における準正課活動での集団的認知責任の向上を支援するデザイン原則の研究
Project/Area Number |
20K03066
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
近藤 秀樹 九州工業大学, 学習教育センター, 助教 (90517088)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 雅之 九州工業大学, 教養教育院, 准教授 (10610206)
大崎 理乃 東京都立産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 助教 (50630802)
遠山 紗矢香 静岡大学, 情報学部, 助教 (80749664)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 準正課活動 / 集団的認知責任 / CSCL / 知識構築 / 協調学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は3年間の研究計画の1年目であった.アクティブ・ラーニングのために整備された学習空間MILAiSの運営を担当する学生スタッフのコミュニティを対象として,協調的な知識の構築を目指す学習環境における学習者の共同体が果たす役割を探索した.具体的には,集団的認知責任(CCR)に注目したこれまでの研究成果を踏まえ,電子掲示板上での活動を振り返るための支援手法をデザイン・試作し,試験的な導入を行った.特に,共同体内でのメッセージのやりとりをネットワークと捉え,リアルタイムでのネットワーク分析を実行し,その結果を可視化して学習者に提供する手法を検討した.限られた期間の試行を定量的・定性的に分析した結果,これらの機能が学生スタッフのメンバー,なかでも初心者のメンバーが高いCCRのメンバーとして活動する効果が示唆された.可視化機能の試験導入後,より多くのスタッフが互いに関わりながら多くのスレッドで議論を交わし,かつ,1スレッドあたりの記事の数も多くなる傾向が見られるようになった. 同時に,COVID-19のパンデミックにより,学生スタッフのコミュニティの活動をオンラインに移すためのプログラムの再設計を行った.これまでの研究では施設や空間を中核として活動するよう設計されていたが,大学が封鎖され,アクティブ・ラーニング型の授業をオンラインに移す必要があり,これをサポートする学生スタッフの活動をオンライン上で試行した.3件のアクティブ・ラーニング型授業について担当教員との密接な協力体制を構築し,オンライン上での支援活動を中核として,学習者コミュニティの再構成を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19のパンデミックにより,学生スタッフのコミュニティの活動そのものを再設計する状況となった.これまでは適切な空間設計と設備によってアクティブ・ラーニング型の授業を実施する教員を支え,周辺的な参加を通じてよりよい学習環境のデザインを推進することにより,学生の集団的認知責任の向上を図るというプログラム設計になっていた.本研究課題はこの過程を明らかにするものであったが,パンデミックによって施設や設備が利用できなくなったため,オンラインへシフトした授業支援へと活動全体を再設計する必要が生じた.この切り替えは当初の計画にはなく,大きな負担となったが,研究の本質に関わる必要不可欠なものとして実施に踏み切った.これにより計画に遅延が生じた.
|
Strategy for Future Research Activity |
研究の対象となっている学習者のコミュニティの活動がオンライン上に切り替わったことにより,他の大学のコミュニティ等に展開できる可能性が拓けた.新年度から研究代表者の所属が変わったが,これを新たな学習者コミュニティの構築の機会ととらえ,これまでの研究成果の展開について他機関への展開の可能性について検討する.これまでの研究成果を他機関へ展開することは,ここまでの研究によって重要性が認識されるようになってきたが,十分に探索できなかった領域でもある.その第一段階として今年度は,2020年度までに得られた知見を用いて,大学の学習環境を学生自身が維持改善するという真正な学習環境を他機関へ構築すること,およびその学習に参加する学生を募集することを予定している.
|
Causes of Carryover |
COVID-19のパンデミックにより,当初計画を大きく修正することになったため
|
Research Products
(3 results)