2021 Fiscal Year Research-status Report
Effects of class hierarchy on bullying-bystander behavior
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20K03295
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
有倉 巳幸 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 教授 (90281550)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神山 貴弥 同志社大学, 心理学部, 教授 (00263658)
稲垣 勉 京都外国語大学, 外国語学部, 准教授 (30584586)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学級内地位認知 / コミュニケーション能力 / 影響力 / 一般的信頼感 / フォールスコンセンサス現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学校現場の喫緊の課題であるいじめ防止のための学術的知見を得るため、いじめを傍観するメカニズムとしての多元的無知に着目し、学級内地位認知及びいじめ傍観行動の測定を通していじめを誘発する傍観者行動が学級集団の階層性によって規定されるかどうかを明らかにする。 第1研究では、中学生を対象に学級内地位認知を測定する方法の妥当性、信頼性の検討を行った。中学校9校から82クラス2610名の回答を得た。学級内地位認知の測定については、有倉(2017)に倣い、学級内での自分の状況を表した200字程度からなる3つの文章を読み、自分に最も当てはまる文章を1つ選ぶ方法を用いた。加えて本研究では、それぞれの文章が自分に当てはまる程度、及び学級内にそれぞれのクラスメイトがどれくらいいると思うか割合を尋ねた。 先行研究(例えば、森口,2007;堀,2015)の知見から学級内地位認知に係る要因として、一般的信頼感、影響力、コミュニケーション能力(主張性、共感性、同調性)を取り上げ、各構成概念の定義を踏まえて尺度を用い、検討を行った。 その結果、まず本研究で開発した手法が学級内地位認知を測定する方法として妥当であることが確認できた。具体的には、学級内地位を表す3つの文章から選択した地位が、最も自分に当てはまっていると回答する傾向があったこと、及び高地位、中地位、低地位の順に自身の影響力を強く認知していたことが明らかになった。 また、高地位、中地位、低地位の順にコミュニケーション能力が高いことに加え、コミュニケーション能力を説明変数、地位選択を目的変数とした階層的ロジスティック回帰分析を行ったところ、コミュニケーション能力のうち、同調性と主張性によって説明できることが確認できた。併せて、各地位を選択した回答者は、自分と同じ地位の生徒が最も多いと認知しており、フォールスコンセンサス現象が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大のため、1年遅れて研究を進めることになった。今年度も、当初7月から9月にかけて第1研究の調査を実施する予定であったが、感染状況が悪化したため、実施を取りやめた。感染状況が落ち着いてきた10月から12月にかけて、集中して実施することとなった。アンケート自体は、当初想定していた学校数だけ実施できた。3月までにデータの入力を終えて基本的な分析を終え、学会発表に向けて準備に取りかかっている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
約1年遅れているので、研究そのものは1年延長申請を行い、当初予定していた第3研究まで確実に実施していきたい。2022年度に第2研究に着手し、第1研究の成果と課題を踏まえて、アンケート内容を精査して実施していきたい。5月から7月中には第1研究の学会発表資料の作成を進め、併せて、第2、3研究の研究倫理審査を受審し、7月中にはアンケートを実施できるように進めていきたい。また、9月下旬の学会発表の後に、論文化を進めるとともに、11月までには第2研究の分析に着手していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究そのものが約1年遅れており、当初計上した旅費を全く使用できる状況になかったことが大きな理由である。今後、研究の延長申請を行い、第2研究に着手し、アンケート用紙の印刷費やデータ入力のアルバイト、及び、感染状況を判断しながらなるべく対面での研究打合せを行う予定である。また、2022年度は、第1研究の成果を学会発表する予定であるので、発表費用等に使用することにしている。
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