2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K03344
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
外山 紀子 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (80328038)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 共存モデル / 概念発達 / 魔術的信念 / 病気理解 / 素朴生物学 / 生気論 / COVID-19 |
Outline of Annual Research Achievements |
2つの研究を行った。 第1に,大人対象のweb調査,子ども対象の個別インタビュー調査を行い,病気の原因に関する2つの説明がなぜ共存するかを検討した。科学的説明は病気の一般的な原因・進行について問われた時には(「どのようにしてこの病気になったのか」など)納得できる説明を与えるが,特定個人が特定のタイミングでなぜ病気になったかを問われた時には(「なぜ私が大事な入学試験の直前にこの病気になったのか」など),内在的正義のような素朴説明の方が説得的である場合があるのではないか,ここに共存の理由があるのではないかと考えた。「どのようにして」という問いと「なぜ」という問い対して科学的説明と素朴信念説明がそれぞれどの程度「よい」説明かを評価してもらった結果,大人については仮説が支持された。子どもについてはどちらの質問にも科学的説明をよい説明として評価する傾向が認められた。 第2に,COVID-19の感染拡大を機として,保育園における食事・衛生実践,子ども観に変化があったかを,全国2,054の保育園を対象とした質問紙調査により検討した(509部回収)。感染拡大前の2019年,感染拡大後の2020年と2022年,そしてCOVID-19の感染法上の位置づけが5類に変更になった2023年において,食事中の会話や保育者との共食などがどの程度実施されていたのか回答を求めた。その結果,感染拡大後は会話や共食だけでなく,歯磨き,給食当番なども実施頻度が低下し,2023年6月になっても感染拡大前(2019年)の状況に戻っていないことが示された。また,全体の3分の1の回答者が,子どもの食事中の会話や姿勢,食器・食具の扱い方に変化があると回答した。これらは保育園の規模や保育時間,COVID-19感染による休園や集団感染の経験の有無などによって差異があった。
|